憧れのヨーロッパアルプス,一度は登ってみたいマッターホルン.
自分がいまやっている登山の延長線上にマッターホルンがあるのかを確認しつつ,実際に登頂するためにどのようなことが必要なのかを考えます.
※実際に100日後に登れるわけではありません.実際は数年単位のプランになるでしょう.
1日目:マッターホルンとはどんな山かを知る
マッターホルンは,アルプス山脈に位置する4478mの山でヨーロッパでは5番目に高い山になります.その美しい山容を求めて世界中から観光客やと登山家たちが集まります.
マッターホルンはピラミッド型で4つの壁と4つの尾根から構成されています.東西南北の壁とヘルンリ尾根、ツムット尾根、リオン尾根、フルッケン尾根があり,その切り立った4つの壁はいずれも1000mをこえる大きさです.特に北壁は,アイガー,グランドジョラスとともに「三大北壁」と言われており登山者の憧れです.
そんなマッターホルンに登頂するには様々なルートがありますが,北壁と東壁の間にあるヘルンリ稜ルートがもっとも難易度が低く一般的です.
今回はヘルンリ稜ルートからマッターホルンに登頂するために必要なことを考えていきます.
2日目:マッターホルン登頂に必要な技術を考える
ヘルンリ稜ルートが易しいといっても,一般的な登山と比べると求められる技術は高くなります.
マッターホルンはフランス基準のルートグレードでは AD: assez difficileとなっておりクライミングのパートだけでみると岩場は日本のⅢ級程度のルートになります.
IFASグレード | 難易度 |
---|---|
F: facile (easy) | 氷河のアプローチや簡単な角度の雪と氷 |
PD: peu difficile (slightly difficult) | ルートは長い, 雪と氷は最大45度,懸垂下降が必要となる |
AD: assez difficile (fairly difficult) | 45-60度の雪と氷,Ⅲ級のクライミングだがクライミングは部分的 |
D: difficile (difficult) | 50-70度の雪と氷,Ⅳ-Ⅴ級のクライミング,クライミングは長い |
TD: très difficile (very difficult) | 65-80度の雪と氷,Ⅴ-Ⅵ級のクライミング,クライミングはとても長い |
ED1/2/3/4: extrêmement difficile (extremely difficult) | 垂直の氷の斜面,Ⅵ-Ⅷ級のクライミング |
ABO: Abominablement difficile (abominably difficult) | 極限の登山 |
マッターホルン登頂に必要な技術を考えていくといくつかに分けることができます.
具体的には
- 体力
- クライミング技術
- アイゼン歩行技術
- ロープワーク
- ルートファインディング
- 英語力
などがあります.
さらに深く考えていきます.
体力
3260mのヘルンリ小屋からマッターホルン頂上4478mまで標高差1200mを日帰りします.現地ガイドと行動すると行動時間は8時間くらいですが,ガイドなしの記録をみると13-15時間程度が平均となっています.日本の登山と比較すると長い行動時間となっており体力は必要そうです.
→1200mを4時間くらいで登るとすると300m/時間の登高速度ですが,登攀の時間や標高が高く空気が薄いことを考えると400m/時間くらいあった方が余裕があるかもしれません.
クライミング技術
Ⅲ級程度の岩場,場所によってⅣ級(5.8程度)のクライミングが必要となります.
→これをみると求められるクライミングの技術としてはそれほど高くないことがわかります.
アイゼン歩行
単なる雪面歩行の技術だけではなく,岩と雪が混在しているのでアイゼンでの登攀技術も必要です.また上部では氷結している部分もあるようで確実なアイゼンワークが必要となります.
ロープワーク
スタカットでの登攀が要される部分もありマルチピッチクライミングができるロープワークは基本です.また緊急時のセルフレスキューなども習得しておいた方がいいでしょう.
ルートファインディング
基本グレードは前述のとおりですが,ルート間違えると登攀グレードがあがりⅤ級にもⅥ級にもなることがあるでしょう.また時間のロスにもつながるので非常に重要な技術です.何回も登頂をしている現地ガイドと自分たちだけ行動との時間の差を考えると,いかにルートファインディングが難しいかがわかります.
英語力
自分たちで行く場合にはパーティ内での会話は日本語でよいですが,ガイドを使用する場合にはガイドとのコミュニケーションが必要となります.あとはホテルや山小屋などありますが観光での海外旅行レベルの会話でいいと思われます.
3日目:必要な技術を身に着けるプランを考える
マッターホルン登頂に必要な技術はわかりました.実際にこれらの技術を習得するためにどのようなトレーニングをしたらよいかを考えます.
体力
これはひたすら山に行くしかないでしょう.もちろん平地でもトレーニングできますが,わかりやすい指標として最低300m,可能であれば400m/時間という目標があるので実際に山に行くほうがいいでしょう.
また月に1回程度は標高差1200m以上,または行動時間10時間以上の日帰り山行をした方がいいでしょう.
クライミング技術&ロープワーク
マルチピッチクライミングに行けばクライミング技術とロープワークを学べます.
クライミング技術に関してはクライミングジムでも練習できます.ただ決して求められるクライミング技術は高くないのである程度の技術がついたら,実際の岩場で経験を積む方がいいかもしれません.
アイゼン歩行
雪山でアイゼン歩行を練習する必要があります.ある程度のアイゼン歩行技術が習得できたら今度は岩と雪が混在する山にいって練習する必要があります.アイゼンで登攀をする冬期クライミングもいいかもしれません.
ルートファインディング
これは通常の登山で身に着けることは難しいでしょう.バリエーションルートの経験を多く積むことで少しずつ身につくものかもしれません.
英語力
勉強しましょう...
1日目~3日目のまとめ
- マッターホルン登頂は難しいが非現実的な目標ではない.
- 事前のトレーニングとしてやることは多岐にわたる.
- 無雪期,積雪期両方のトレーニングが必要となるのである程度時間がかかる.
- 英語の勉強はしておこう...
②トレーニング編へ続く
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