最初は近場の山から登山を初めて,徐々にステップステップアップして日本アルプスの縦走をする.そうしている間にきっと登山道ではない道を歩いていたり,ロッククライミングをしている人を見たことがあると思います.整備された一般道の登山も面白いけれど,さらに登山の幅を広げるためにバリエーションルートやクライミングをはじめたい人も少なくないはずです.
今回はそんな人向けにバリエーションルート初心者におすすめしたいバリエーションルートやアルパインクライミングルートを紹介していきます.
このページはこんな方にお勧めです!!
目次
バリエーションルートとアルパインクライミングってどう違うの?
バリエーションルートは一般道ではない道のこと!!
「バリエーションルート」とは整備された一般道以外のすべての道のことをいいます.
一般道は初心者から上級者まで多くの人がいく登山道で,山小屋や管理人によって歩きやすいように木が倒されたりステップが作られたりなど整備されています.しかし,バリエーションルートは上級者以上のみが歩くことを許された道で草木が茂っていたり,岩が崩れやすかったり,段差が大きかったりなど整備されていない道のことです.
一般的な登山地図では一般道は赤い線で描かれていますが,バリエーションルートは点線であったり記載がなかったりします.バリエーションルートの中でも人気の高いルートは一部整備されていることもあります.
バリエーションルートでは,一般道と比較して体力や登山技術,ルートファインディング技術などが必要になってきます.
アルパインクライミングは山で行うクライミングのこと!!
「アルパインクライミング」はルートの名前ではなく登山スタイルの名前です.
バリエーションルートの中でもクライミングの技術が求められるルートの登山をアルパインクライミングといいます.バリエーションルート登山の多くはアルパインクライミングになります.
バリエーションルートで求められるルートファインディングや体力のほかに,クライミング技術やロープワークなどが必要になります.
次の2冊はアルパインクライミングをはじめるにあたって参考にしたいおすすめの書籍です
これらを読めばアルパインクライミングの全体像や基礎知識が学べます!!
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ルートの難易度ってどうやって決まるの?
さて上級者以上のみが許されたバリエーションルート/アルパインクライミングルートですが,バリエーションルート初心者はいったい何をみて自分に合ったルートを選べばいいのでしょうか?
一般道であれば各自治体が作っている「山のグレーディング表」を参考にすればいいのですが,バリエーションルートにはそのようなものはありません.ではバリエーションルートの難易度はどのように決まっているのでしょうか?
それはピッチグレードとルートグレードです!!
アルパインクライミングのピッチグレードは岩,ミックス,アイス,人工登攀それぞれで異なるグレードがあります.無雪期に主となる岩登りのグレードではUIAA(世界山岳連合協会)のグレードが有名で日本ではRCCⅡという団体がUIAAに準拠してグレードを作成しています.表はフリークライミングで使われるデシマルグレードと比較したものです.
ルートグレードは登降距離や所要時間,難易度,プロテクションの条件,岩の状態,ルートファインディンなどを踏まえて1~6級(3~6級は上下もあり,例:3級下,3級上)に分けられます.最も難しいグレードは6級上になります.
これらのグレードを踏まえて自分のレベルにあったルートを選びましょう!!
初心者が行きたいバリエーション/アルパインクライミング
初心者におすすめのバリエーションルートを段階順に説明していきます.
STEP1:バリエーションルートデビューの前にいきたい!!
STEP1はバリエーションルートの経験がないが一般登山はある程度やってきた人向けです.
ジャンダルム・西穂~奥穂縦走
ジャンダルムを含む西穂高岳から奥穂高岳の縦走路は一般道とバリエーションルートの中間に位置します.西穂高岳から奥穂高岳に向かって切り立った岩稜帯を6時間程度縦走します.ルート上にはジャンダルムのほかに「ロバの耳」や「馬の背」といったやせ尾根が続きます.遭難や死亡事故も起きている場所なので慎重に進んでいきましょう.
クライミング技術やロープの仕様は必須ではありませんが,長時間の切り立った岩稜帯歩きはバリエーションルート入門としては十分すぎるでしょう!!
STEP2:アルパインクライミングデビュー!!
最初のアルパインクライミングは必然的にクライミングの要素が少ないものになります.主として岩稜帯歩きでロープを使ったクライミングがあるかないかといったルートです.このようなルートで体力的な面やルートファインディング,最低限のロープワークを確認しておきましょう!!
槍ヶ岳 北鎌尾根
ルートグレード 不明/ピッチグレード 不明
北鎌尾根は槍ヶ岳の北に延びる尾根で,「孤高の人」などの小説の舞台にもなっています.クライミングの要素はほとんどなくロープは必ずしも必要ではありません.
ですが長い稜線やガレ場歩き,ルートファインディングなどアルパインクライミングの技術を求められます.中でもルートファインディングは必要でついている踏み跡が必ずしも正しいルートとは限りません.ルートを間違えると進退不能になってしまう可能性もあります.
北穂高岳 東稜
ルートグレード 不明/ピッチグレード Ⅲ
「ゴジラの背」という稜線が北穂高岳の魅力です.北穂沢を詰めていき稜線にあがります.技術的な難易度は高くありませんが若干のクライミング要素があります.またゴジラの背の最後には懸垂下降があり,こちらも初心者にはよいアクセントになるでしょう.
剱岳 源次郎尾根
ルートグレード 1級/ピッチグレード Ⅲ
源次郎尾根は剱岳に正面から突き上げる尾根です.バリエーションルートとしは人気の高いルートになります.クライミングとしての難易度はそれほどなく,Ⅱ峰からの30mほどの懸垂下降もでき初心者でも行きたいルートの一つです.またアプローチでは雪渓を歩きも必要になる場合があるのでアイゼンワークも習得しておく必要があります.
STEP3:トレーニングとしていくマルチピッチクライミング!!
バリエーションルートデビューを果たしたら次に挑戦したいのはマルチピッチです!御在所岳前尾根は本番のマルチピッチに挑戦する前にぜひ登っておきたいルートです.クライミング技術やロープワーク等練習してから本番に挑みましょう.
御在所岳 前尾根
ルートグレード 不明/ピッチグレード Ⅲ~Ⅴ
御在所岳は滋賀県と三重県にまたがる1212mの山です.近場の山ですがしっかりとしたマルチピッチが楽しめます.登山口から取付まで1時間程度なのでアプローチしやすく,またⅤ級程度のピッチもありますが巻き道もあるため初心者でも挑戦しやすいです.
アルプスのアルパインクライミングに挑戦する前にぜひ登っておきたいルートです.
ルートについて詳しくは以下のページで紹介しています.
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STEP4:マルチピッチクライミングにも挑戦!!
ここまでくればいよいよマルチピッチクライミングに挑戦です.グレード等を見ながら最初は優しいところにチャレンジ,徐々にレベルを上げていきましょう.
前穂高岳 北尾根
ルートグレード 1級/ピッチグレード Ⅲ
前穂高岳まで4つのピークを越えながらアプローチする前穂高岳北尾根は懸垂下降あり,マルチピッチクライミングあり,長時間行動,ルートファインディングなどまさにアルパインクライミングといったルートです.マルチピッチクライミングはⅢ峰だけであり初心者でもチャレンジしやすいルートです.
北岳バットレス 第4尾根
ルートグレード 3級/ピッチグレード Ⅴ-
バットレスは山頂や稜線に向かって支えるように切り立っている岩壁のことをいいます.
北岳バットレスは日本第2位の山の正面にそびえる岩稜帯で古くからクライマーたちの憧れです.その中でも第4尾根は入門ルートとして登りやすくマルチピッチクライミングのステップアップにもってこいです.4尾根以外にもピラミッドフェースや中央稜,1~3尾根などレベルに応じてたくさんのルートが楽しめるのが北岳バットレスの特徴です.
横岳 小同心クラック
ルートグレード 2級上/ピッチグレード Ⅳ
八ヶ岳西面は冬期クライミングとして人気のエリアです.無雪期は岩がもろく危険が大きいためあまり登られません.そんな中,横岳の小同心クラックは無雪期でも登られるルートです.横岳の正面に抜けるチムニーを登っていきます.クライミング自体の難易度は高くなく,初心者でもマルチピッチクライミングを楽しめる人気のルートです.
まとめ
初心者におすすめしたいバリエーションルート/アルパインクライミングルートを紹介してきました.段階を踏んでレベルアップしながら新しいルートに挑戦していきましょう!!!
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