山岳医という言葉は聞いたことがありますか?
山岳医というのは山に関係する医療にたずさわる医師のことをいいます.山に携わる医師である以上,ある程度の登山技術が求められます.
本ページでは山岳医に求められる山岳登山技術について考察していきます.
山岳医とは?
山岳医という言葉を聞いたことがありますか?
山岳医とは明確な定義がある用語ではありません.一般的には山岳医というと山岳診療所で働いていたり,登山家の海外遠征に同行したり,あるいは山岳医療の研究を行っていたり医者のことをイメージします.
山岳医には明確な定義はありませんが,日本では医師が取得できる山岳医の資格が2つありこれらを有している医師は名実ともに山岳医を名乗ることができると考えられます.もちろん山岳医の資格をもっていなくても山岳医として活動している医師はたくさんいますし,彼らも山岳医であることは間違いないでしょう.
現在,日本で取得できる山岳医関係の資格は
①日本登山医学会専門医(登山専門医)
②国際認定山岳医(Diploma in Mountain Medicine:DiMM)
の2つになります.
これらの資格の概要については下記リンクで紹介しています.
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山岳医に求められる技術というのはこれらの資格を取得する際に求められる技術と言い換えてもいいでしょう.実際にどのような技術が求められるのかそれぞれ見ていきましょう.
登山専門医で求められる登山技術
まず登山専門医ですが,登山専門医では特別な技術は必要ありません.
登山専門医を取得するには山岳医療に従事している医師,基本領域の専門医を有している医師,あるいは認定山岳医を取得している医師が所定の単位数のe-leaningを行うことで申請ができます.
実技の講習や実技の検定等はなく,2021年時点では座学のみとなっています.そのため本格的な登山をしていなくても自身の専門をしっかりと修練している医師であれば取得可能となっています.
ただし5年ごとに必要な専門医の更新のためには山岳医療に従事している必要があります.
国際認定山岳医で必要な登山技術
登山専門医が特別な技術を必要としない一方で国際認定山岳医(DiMM)では,安全確保技術やロープワーク,ビーコン捜索,読図など様々な技術が要求されます.
DiMMの取得には5年間で学術集会に参加,6つの講習を受講かつ2つの検定に合格する必要があります.プログラムの半分は座学ですが,残りの半分は演習と検定になります.
演習と検定はそれぞれ夏山登山と冬山登山に分けられます.
夏山では,ロープワークやセルフレスキュー,救助技術の演習やナビゲーション,情報技術,沢登りなどの検定があります.
また冬山では,凍傷や低体温症,雪崩のマネージメントの演習があり,総合的な冬山登山技術やアイスクライミングの検定があります.
山岳医になるためにやるべきこと
山岳医になるために,特にDiMMを取得するために必要な技術について紹介してきました.これらの技術は決して「山岳医だから」必要な特殊な技術ではありません.一般的なアルパインクライミングで必要な技術の範疇と考えられます.
では,これらの技術をどのように習得したらよいのでしょうか?
おそらく自力でこれらの技術を取得することは難しいと思われます.現実的な方法として2つの方法があると考えます.
①山岳会に入る
②山岳ガイドを利用する
一番現実的なのは,アルパインクライミングを行っている山岳会に入って技術を学ぶことでしょう.費用的にも経験的にも十分に習得することができます.
もう一つの方法としてはガイドツアーを利用することです.ガイドツアーで基本的な技術の講習があったり,実際にアルパインクライミングに行ったりすることで技術を学ぶ方法です.
ガイド利用のメリットとしてはその道のプロに学ぶことができることですが,デメリットとしては費用がかかること,自分の欲しい技術を提供しているガイドを探さなければいけないことなどでしょうか.
まとめ
山岳医に必要な登山技術について紹介してきました.国際認定山岳医を取得するには多様な登山技術が必要になります.しっかりと登山やクライミングの経験を積んでから取得を目指す方がいいかもしれませんね.
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