アメリカ合衆国にありトラッドクライミングの聖地とされるヨセミテ国立公園.その象徴ともいえるエルキャピタンは高低差約1000mあり花崗岩としては世界最大の一枚岩だ.2023年にはじめてヨセミテを訪れた際にその圧倒的なまでの巨大さに言葉を失い,「いつかこの壁を登りたい」そう願った.その夢は思いのほか早くかなうことになった.これは「The Nose」の登攀記録である.
目次
The Nose, El Capitan
ヨセミテ国立公園は世界的に有名な観光地であるが,マーセド川の両岸に数多の岩壁が存在しクライマーにとっては垂涎もののクライミングエリアである.かつてトラディショナルクライミングが誕生した土地であり人知を超えた記録が現代に渡って生み出され続けている.
そんな多くのクライマーを魅了するヨセミテの象徴ともいえる岩壁のひとつがエルキャピタンである.高低差は約1000m,世界で最も大きい花崗岩の一枚岩である.エルキャピタンにはフリー,エイド問わず数多くのルートが引かれているが,まさに鼻ともいうべき完璧の中央に位置するラインが「The Nose(ノーズ)」だ.
「The Nose」はこの岩壁の初登ルートであり,最長ルートであり,初登から70年ほどたった今なおフラッグシップというべきルートである.
概要
経緯
元々ビッグウォールにあまり興味はなかったが,2023年にヨセミテを訪れた際にEl Capitanに魅了され次にヨセミテを訪れる際にはノーズをトライしたいと考えていた.偶然ヨセミテであったI-Rokさんと日本で何回かクライミングをするうち同じ思いを持っていることを知り,トライのおよそ1年前の2023年11月に声をかけパートナーとして完登を目指すことになった.そこからノーズに向けての準備を開始した.事前準備やトレーニングに関しては別記事にまとめる.この記事では実際のノーズの登攀を振り返る.
行程
2024年10月4日~8日
- 10月4日 day0 0-4P目の登攀およびルート工作,荷揚げ
- 10月5日 day1 1-12P目の登攀,El Cap Tower泊
- 10月6日 day2 13-18P目の登攀,18P目のルート工作,CAMPⅣ泊
- 10月7日 day3 19-24P目の登攀,24P目のルート工作,CAMPⅥ泊
- 10月8日 day4 25-28P目の登攀,East Ledge経由での下山
コースタイム ※〇P目は登攀開始した時刻
10/4
駐車場(0710)-取付(0744)-0P目(0805)-1P目(?)-2P目(0909)-3P目(1037)-4P目(1124)-Sickle Ledge(?)-取付き(?)-荷揚げ完了(1448)
10/5
CAMPⅣ発(0505)-駐車場(0528)-Go-Up(0559)-Sicke Ledge(0636)-5P目(0706)-6P目(0822)-7P目(1016)-8P目(1136)-9P目(1316)-10P目(1609)-11P目(?)-12P目(1756)-El Cap Tower着(?1900くらい)
10/6
起床(0620)-13P目(0722)-14P目(0835)-15P目(0943)-16P目(?)-17P目(1345)-CAMPⅣ(1507)-18P目(?)-fix完了(1827)
10/7
起床(0600)-18P目j(0659)-19P目(0730)-20P目(0918)-21P目(1024)-22P目(1142)-23P目(1308)-CAMPⅥ(1454)-24P目(?)-fix完了(1822)
10/8
起床(0600)-24P目j(0652)-25P目(0733)-26P目(0840)-27P目(1025)-28P目(1123)-summit(1204)-下山開始(1322)-懸垂下降点(1446)-駐車場(1538)
詳細
10月4日 day0 0-4P目の登攀およびルート工作,荷揚げ
10月3日の便でサンノゼに移動しそのままヨセミテ入り.長い一日で疲労感もあったが期間も限られているため翌4日にday0とした.
Sickle Ledgeまでの荷揚げはノーズのラインを使う方法とフィックスのラインを使う方法の2つがある.0ピッチも含め最初の5ピッチはノーズの中では一番傾斜が緩く,またトラバースもいくつかあるため少しでも荷揚げの負荷を減らすためにフィックスラインでの荷揚げを選択した.0ピッチ目はトポにはA-Cまでの3つのラインが記載されているが今回は荷揚げを別に行うこともあって本当のノーズの末端であるAから取り付くことにした.ピッチの割振りはどちらも振り子&C2を経験できるように1-2P目をにわか、3-4PをI-Rokとした。
アプローチ
ホールバックに水やビバーク装備をつめてアプローチ.もう1人はギアをもって担当.さすがにギア抜きにしても40kgほどありホールバックが重い.目の前に見えるEl Capが気持ちを盛り立てる.本来15分ほどの行程を倍の時間かけてフィックスラインの取り付きへ.ホールバックをデポし登攀装備でノーズ取り付きへ移動.
0ピッチ目 5.6 リード
ここからいよいよ俺たちのノーズが始まる.難しいところはなくフリーで突破.同時登攀のつもりがほぼ60mだったのでほとんどリード&フォローで1P目取り付きへ.途中プロテクションは1個だけとった.
1ピッチ目 11a or C2 リード
いきなりのC2セクション、フリーでの挑戦を試みるが開始5mで断念.A1に切り替える.全体的にピトンスカーだがオフセットカムが非常によくきまる.途中にカムの浅ぎきで立ち込みがあった.おそらく動荷重だったら外れてたと思う.他の箇所は概ね問題なし.オフセットカム大活躍!
フォローでキャメロット0.5番のワイヤーが切れて回収困難となった.一旦上がってきてもらい、回収機、ハンマー等を持って行くが10分くらい格闘しても回収困難のためカラビナのみ回収して残置.さようなら.荷揚げ終了後にマウンテンショップに直行してZ40.5番を新調した.
2ピッチ目 11d or C2 リード
またもやフリーを試みるがやはり開始5mで断念しA1へ.とここでビレイヤーから「あっ!」との声.アッセンダーを落としたとのこと.day0でよかった.こちらもmountain shopで新調.以後パートナーはアッセンダー&マイトラでユマール.テンショントラバースも振り子というほどの振り幅はなくじわじわで攻略.いつかけられたかわからないスリングに全体重をかけるのは緊張する.隣のクラックに入ったあともピトンスカーが連続.
3ピッチ目 5.9 or C1 フォロー
やはりピトンスカーには苦しんでいる模様.さいごにフォローはロワーアウトがあったが気が付かず普通にユマールしたら思いの外振られた.
4ピッチ目 11c or 5.9C2 フォロー
出だし5mほど登ってC2セクション.カムを固めどりしてフリーで超えていった.でもフォローで登ったときにはカムは外れていた...その後の振り子トラバースはスムーズ.フォローははじめてのロワーアウト.最初にやった人はよく思いついたもんだ.テラスのトラバースはプロテクションが少なくて怖い.シックルレッジ着 12時過ぎ.なかなか良いペースな気もする?
荷揚げ
Sickle Ledgeからフィックスしつつ下降.その後ユマールして荷揚げ,このくらいから気温もあがり風も強く喉が異様に渇く.汗はあんまり書かないが水の消費量が増える.午前中は曇りもあってよかったのだが.メイン→サブ(デポ)→荷揚げ用セミスタの順でフィックス.
1P目はスムーズ.ボディホーリング
2P目I-Rok 苦労していた.荷揚げを横目に余った荷揚げロープを引きながら先にレッジへ.
3P目Sickle Ledge上の終了点で荷揚げ.最初はボディホーリングで上がるが途中からはあがらずスペースボーリングへ切り替え.途中でハングに引っかかるがフォローのサポートでクリア.
まだヨセミテの乾燥した気候に慣れていないのか,純粋に熱いのかとにかく喉が渇いた.思った以上に水を消費していた.予定通りで足りるのか?クライミング自体はトレーニングの成果もあってスムーズ.荷揚げ後のフィックスはメイン→荷揚げ用→サブの順
荷揚げ終了後はCAMPⅣに戻り,最近開始されたというBig Wall Permissionをもらいにキオスクへ.だが時刻は16時半をギリギリ過ぎていてもう閉まっている.結果バレーを3周ほどしてエルキャプメドウで記載場所を発見して無事完了.辺りは真っ暗だ.ビールで乾杯して明日に備える.
10月5日 day1 1-12P目の登攀,El Cap Tower泊
向こう数日の天気も問題なく,ルート工作翌日にGo-upとした.数週間前から友人がヨセミテに滞在していたのでデポしたロープの回収と帰りのピックアップを依頼.
1galon×2人×4日分水をあげているが,昨日の水の消費量も鑑みてそれぞれ2Lずつ追加で担いでいく.まだ暗い中からユマール開始.5p目リードのにわかから開始する.隣にフィックスが1本残っているが上に人がいる気配はない.30分ほどユマールが続きさすがに休み休み.Sickle Ledgeにつくと昨日はなかったホールバックが1組あるが先行はいないようだ.とりあえず一番乗りでスタートできたようだ.結果的に懸念事項のひとつであった渋滞には巻き込まれることなく自分たちのペースで4日間を過ごすことができた.その後パートナーもロープを回収しつつ無事に到着.準備をしていざ出発だ!!
5ピッチ目 5.9+ リード
5.6から5.9+のピッチ.なるべくフリーでと思いスタート.三日月がたのledgeの面からフェイスに出るところがいまいちわからない.壁が立ってきたところでテンションを入れて様子を見ると3mほどフェイスのクラックを登ったところに終了点.フリーで登る余裕はなくエイドで.いきなりハンギングビレイで壁の中にいることを実感させられる.と同時に上も下も岩壁が続いており圧倒される.荷揚げはスペースホーリング.
6ピッチ目 5.9+,振り子 フォロー
テンショントラバースからの簡単なフェイス.当然のことだがトポでイメージしていたよりも壁がでかい.人間の想像力なんてたいしたことないもんだな.トラバースしたあとはビレイヤーと同じくらいの高さになるまではノープロ.さらに少し登りもう1度テンショントラバースをしてStoveleg Crack.Dolt towerまで延々と150mほど1本のクラックが続いている.とても見事!フォローはロワーアウト2回でビレイ点まで.1回目のロワーアウトではロープが足りなくなり3mほど振られ壁に着地.このときかかとをぶつけてヨセミテにいる間ずっと痛かった.
ここからしばらくはハンギングビレイが続く.壁の威圧感がはんぱない.
7ピッチ目 5.9 リード Stoveleg Crack
5.9から始まり後半は5.8のハンドサイズの快適クラック.トポにgloryと書いてあるだけのことはある.フリーで行けるはずのグレードだが壁に圧倒されるフルエイド.フレーク状でアブミを外に出しながらエイド.20mほど登ったところで荷揚げ用のバックロープを忘れていたことに気がつく!なんてこった!カムでセルフをとりメインロープを垂らすとギリギリ引き上げることができたので若干のタイムロスで済んだ.ここの終了点もハンギングレイ.傾斜も強くなりなんとかボディボーリングであがるが辛い.
8ピッチ目 5.10b or C1 フォロー
Stoveleg Crackはまだまだ続く.途中で3番のワイヤーが切れる.ビレイ中もハンギングで腰が痛いので途中はホールバックの上に立っていた.いくぶんか快適.
9ピッチ目 5.10b or C1 リード
3〜4番くらいが続く.ばちぎきフィストといえばそうなんだがフリーで登るメンタリティは残っていなく粛々とエイド.ドルトタワー下のテラスでピッチを切る.久々に2本の足で立てる.
10ピッチ目 5.10c or C1 フォロー
ドルトタワーまで5mほどあがりそこからテンショントラバース,からのsqチムニーのピッチ.風が強くて声が聞こえないし,ドルトタワーを挟んで姿が見えないしでコミュニケーションが大変だった.フォローはドルトタワーからロワーアウト.ドルトタワーはそれなりに広いテラスで居心地は良さそうだ.
11ピッチ目 5.9 リード
出だしのチムニー様のところからその後はワイドハンド〜フィスト,後半は4番サイズを延々と交互に使いながら登っていく.当然エイド.4番は3つしかなく最後に4番でプロテクションを取ってからは両手に4番のエイドで20mくらいのランナウト!!
12ピッチ目 5.7 フォロー
エルキャプタワーまでの簡単なピッチ.ただしフォローのユマールはトラバースで恐ろしい.ホールバックは細引きを使って送り出す.
無事日が暮れる前にエルキャプタワーにたどり着いた.たどり着いたけどふたりとも満身創痍.時間も日暮れぎりぎり.水も追加で持ち上げた4Lに加えて最初に持ち上げた4Lも空きそうだ.最低限のノルマはクリアできたけど自分の中ではノーズの完登に疑問を持ちはじめた.
エルキャプタワーは貸切で広々と使うことができた.day1の状況も踏まえて作戦会議.予定通り2泊3日で行ければ水は足りるが,今日のペース・疲労感を考えると怪しい.とはいえ思った以上の暑さと乾燥で3泊4日で行くと水が足りなくなる可能性がある.自分の中では「2泊3日での完登:3泊4日での完登:敗退=2:4:4」くらいのイメージだった.とりあえず2泊3日にはこだわらず可能な範囲で水を温存しつつ,可能な範囲でペースをあげつつ進んでいこうという話になった.振り返ると,ここでよく話し合っておいたのが良かったと思う.
day2に向けて体力を回復させるべくすぐに眠った.ちなみに晩御飯はカレー.下界から持ち上げたがソーセージを食べる気力のないところに無理やり突っ込む.雲一つない満点の星空で贅沢すぎる一夜だった.筆者は「ここで敗退もありかな?」とかうっすら思いながら眠りに落ちていった.夢の中ではパートナーに「残念だがここで降りよう」と言っていた.
10月6日 day2 13-18P目の登攀,18P目のルート工作,CAMPⅣ泊
6時に起きる予定が20分ほど寝坊して起床.明け方は少し冷えたがシュラフに入らずに一晩過ごせた.フルーツグラノーラと粉ミルクの朝食は食べて準備に取りかかる.昨日の夜に湧き上がった弱気は姿をけし,ただ前に進む気持ちになっている.体が弱っているときには心も弱くなるから休息ってとても大事.
もともとテキサスフレーク、キングスイング、グレートルーフと有名どころがそろった鬼門のday2、果たしてどこまで進めるか.
13ピッチ目 5.9→5.8 リード Texas Flake
精神的核心と名高いテキサスフレーク,噂通りフレークに入るまでが大変.エルキャプタワーの左端から上がり,うすかぶりのチョックストーンを越える.
チムニー自体は15mほどで思ったほど大きくはない.ボルトの位置もちょうど中間くらいで丈夫で落ちてもギリギリ止まるか?といったところ.出だしは心地よいチムニーで両膝を壁について登る.西側(奥側)の方がやさしいとトポには書いてあるがボルトは手前にあってどういうこっちゃ?とりあえずボルトに向かって進む.ボルトまでは落ちる気配はなし.ボルトからは徐々に広がっていきしっかりとバックアンドフットをしないといけない.全身運動で思いの外疲れるしアブミが足に絡みつきペースを乱す.リップをつかんでも安心できない.全身でしがみついてようやく一安心.フレークの上に申し訳程度のボルトがあるのでクリップしてから立ち上がり壁にあるボルトで終了点をつける.たしかに5.8だが今までで一番苦しんだ.5.8界の中では大分難しい部類だろう.フォローはチムニーが狭くユマールで苦しんでいた.荷揚げはフレークの外から.荷物も多少軽くなり自分もパートナーもボディホーリングで問題なし.
14ピッチ目 C1 フォロー Boot Flake
ボルトラダーからのシンクラックからの快適サイズ.核心のシンクラックは残置が豊富でナッツ未使用とのことだった.キングスイングの位置の目算を立てながらユマールするも,想像よりも下だった.こんなに下りるのか.
15ピッチ目 5.10c or C1 リード King Swing
そしていよいよノーズ名物のキングスイング!!カンテは見えるがその先のクラックは全く見えない.
カンテの手前に何かありそうだ.最初は遠慮気味に振り子するも徐々になれてきて壁の中を疾走する.気持ちいいがなかなか体力的にしんどい.位置を微調整しながら3〜4回目でカンテのカチを掴む.そこから少しずつロープを出してもらいフェイスをトラバース.3本目のボルト辺りからの振り子でイーグルレッジしたのクラックにたどり着く.持ってきていた4番2個でクラックをあがりテラスでギアを受け取る.その後にバックロープも受け取ろうとしたがなかなかやって来ない.おもりがないとロープをスムーズに走らないためギアと一緒に送るのが良い模様.イーグルレッジからは素直なクラックをエイドであがり,左手にあるビレイヤーより少し低い位置のテラスでピッチを切る.
日本出国ちょい前に60mロープでロワーアウトすると結構振られることが判明したのでフォローはメイン外しの斜め懸垂.荷物は細引き20mを目一杯使って送り出し.事前の傾向と対策がしっかりと活きた.
16ピッチ目 5.10d or C1 フォロー
イーグルレッジから最後の振り子も入れて60m目一杯のロングピッチ.少しずつだが着実に進んでいる.すると途中で何かが降ってきた.どうやらカムフックのようだ,,,.2個あるうちの1個を落としたようだ.このあとに控えるグレートルーフとかチェンジングコーナーで使うかもしれないのに,,どうなることか.その後ハングを越えてからもだいぶ登ってからテンションの声,10mくらい下降して左のテラス(?)へ.
時刻は12時ころ.がんがん日もあたりルートも長くてユマールでもしんどかった.最後はメインをほどいて斜め懸垂で終了点へ.とここで少し体調に異変が.
17ピッチ目 5.7→5.11 or C1 フォロー
元々リードの予定だったがなんか体の調子がおかしい.力が入らないし,覇気がない.あとお腹の調子も悪い.熱中症か?少し時間をとって水分や行動食も補給するがいまいち調子が悪い.自分の中ではここで敗退も頭をよぎったがキャンプ4まであと1ピッチだったのでとりあえずそこまで行くことに.5.7からのやさしいピッチだったがリードできるコンディションではなかったので代わってもらった.本来なら次の18p目とリンクして荷揚げをするピッチだったが,荷物を置けるようなテラスもないし上の経緯もあったのでキャンプ4まで普通に荷揚げした.トラバースの荷揚げでなかなか大変.(その後、トポを見返しリンク荷揚げのやり方が判明!ここは予習不足で反省が必要だ.)
岩も脆くユマールでのトラバースが嫌だった.途中の終了点は見送りキャンプ4までリンク.
無事キャンプ4まで到着.ふたりとも暑さにやられてるし時間も想定より遅れてるので2泊3日は諦め,この日はキャンプ4ステイ.3泊4日のプランに変更した.ちなみに自分の体調はキャンプ4でお腹が限界だったので排便したら回復した,,,.
18ピッチ目 5.9+ リード fix
そうは言うものの少しでも歩を進めたかったのでグレートルーフまでのピッチをfixすることにした.休憩して日が陰るくらいの時間まで待ってから行動することに.その間にワンデイの3人パーティを見送った.夕方になってからフィクス.ワンデイ組はすいすい行っていたが思いの外悪いぞ.岩はまだ熱く滑る.エイドも交えながら終了点へ.
この日は水の消費も予定通りに押さえることができて3泊4日での完登が現実的になってきた.あとは後半に固まっている核心たちを超えられるかどうか.この日の夕食はラーメンライス.ラーメンは日本を思い出させる.キャンプ4は3段を分かれた外径テラスで座っている分にはいいが横になると滑り落ちて寝心地はいまいち.夜中に何度も目が覚めた.そのたびに星空とバレーの光を見て「あぁ,ビッグウォールやってるんだなぁ」と.
…後編につづく.
コメント