バリエーションルートに行きたい!準備は何が必要なの?-ロープワーク編-

ロープワーク編 アルパインクライミング
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登山道を歩いていて

「あれ?あの人たちあんなところ歩いているけど道なんてあったかな?」

 と思ったことはありませんか?実はそれバリエーションルートなんです.
 バリエーションルートでは一般道とは違う装備,知識,技術が必要になってきます.例えば,ロープを使った登攀(クライミング)を行うこともあるため初心者であっても最低限のロープワークを身に着けておく必要があります.
 ということで今回はバリエーションルートで必要なロープワークについて紹介していきます.

 必要な装備については下記リンクを参照してください.

最低限必要なロープワーク

 バリエーションルートでは登攀(クライミング)の要素がでてくるためロープによる確保を行いながら登っていくことがあります.アルパインクライミングの初心者ではクライミングの技術はもちろんですが,それよりもロープワークやクライミングシステムを理解していることが非常に重要です

 ロープワークはノットやヒッチ,フリクションヒッチなど多々ありますがここでは初心者がガイド,あるいは上級者と行く際に最低限必要なロープワークを説明していきます.

最低限必要なロープワーク
  • エイトノット(8の字結び)
  • クローブヒッチ
  • ロープの巻き方
  • リード確保

エイトノット(8の字結び)

 エイトノットは基本中の基本となる結びです.ロープをハーネスに固定するために使用します.ロープの結び方の中でも一番多用するものになるので繰り返し練習して体で覚えるようになりましょう.子の結び方ができなければロープを使ったクライミングを行うことができません.

STEP1:8の字を作る

 ロープに8の字を作ります.後でハーネスに結びつけるため結び目は1~1.5mくらいの所に作ります(①).ロープの太さによって結び目の位置はかわってきます.自分の手の長さなどを用いて各々の結び目の位置を大体決めています.

8の字結び(エイトノット)1
8の字結び(エイトノット)3
8の字結び(エイトノット)2
8の字結び(エイトノット)4

STEP2:結んだ8の字をつかってロープをハーネスに結びつける

 8の字ができたらハーネスにロープを結びつけます.まずビレイループが通っているタイインの部分に下からロープの末端を通します(⑤).このときにウェストとレッグの両方の輪に通っていることを確認しましょう.次に結んだ8の字と平行になるようにロープを進めていきます(⑥).このときにロープがよれずに2本がきっちりと平行になるように注意しましょう.
 8の字が2重にできたら末端処理を行います.ロープの末端をつながっているロープの周りを2周以上巻きます(⑦).最後に8の字の結び目の方から巻いたロープの中を通します(⑧).ロープの余りはロープの太さの10-15倍になるように調整しましょう.

8の字結び(エイトノット)5
8の字結び(エイトノット)6
8の字結び(エイトノット)7

クローブヒッチ

 バリエーションルートでは足場が不安定な場所でビレイ(確保すること)を行うことがあります.またクライマー(登攀者)が転落したときにはビレイヤー(確保者)はロープごしにクライマーを支える必要があります.そのようなときにセルフビレイ(事故確保)をとることでビレイヤーが飛ばされたり,壁にぶつかったりすることを防ぐことができます

 セルフビレイには,①ロープでとる方法と②ヌンチャクでとる方法があります.クローブヒッチはロープでセルフビレイをとるときに使う結び方です.ロープでセルフビレイをとるメリットとしては,使用するヌンチャクを減らせることや長さを調整しやすいことなどが挙げられます.

右ゲートのカラビナ

右ゲートのクローブヒッチ

左ゲートのカラビナ

左ゲートのクローブヒッチ

 クローブヒッチは力がかかるほど結び目が締まるようになっています(③).きつくしまってもカラビナをあけてロープを外すことでほどけるため短時間でセルフビレイの介助が可能です.逆にカラビナが開くことで容易に結び目がほどけてしまうため安全環付カラビナを使用します
 左右どちらにゲートがあっても片手でクローブヒッチができると素早くセルフビレイをとることができます

ロープを巻く

 バリエーションルートではクライミング中はロープを使用しますが,クライミングがない所ではロープを巻いて行動します.ダブルロープのシステムで行う場合には2人に対して2本のクライミングロープがあるため初心者であってもロープを巻く技術は必要になります.

STEP1:ロープの巻き方(振り分け)
 
 まずロープを左右に振り分けます.ロープを肩にかけて両手で持ちます(①).ロープをもったまま両手を合わせて末端ではない方を右手から左手に渡し(②),そのまま両手を広げます(③).また両手を合わせて今後は左手から右手にロープを渡します(④).この動作を繰り返すと両手を広げた長さにロープが折り返され束ねられます(⑤).

ロープの巻き方1
ロープの巻き方2

STEP2:振り分け後の縛り方

 ロープを振り分けた後は今度は結びます.巻き始めの末端を折り返し,折り返しごと巻きおわりの末端でロープの束を4周ほど巻きます(⑥).巻いた末端を折り返してできたループに通して両末端を結べば完成です(⑦).ロープがほどけないようにきつく結びましょう.

ロープの巻き方3
ロープの巻き方4

リード確保

 登攀をするときに転落や墜落する危険のある壁はスタカットといってリード(先に登る人)をフォロー(後に登る人)に分かれて交互にのぼります.リードはフォローの,フォローはリードの確保を行いながら登っていきます.

 初心者はほとんどの場合フォローになりますが,リードの確保を行う必要があります.リードの確保は安全環付カラビナ1個と確保器1個で行えます.

リードの確保方法1

確保器へのロープのセット.
クライマー側と制動手側が反対になると確保が不十分になるので正しい向きでセットしましょう.また安全環が閉じているかを確認しましょう.

ダブルロープの場合には2本とも確保器にセットします.

リードの確保方法2

 クライマー(リード)が登っているときは登るペースに合わせてロープを送り出しましょう.ロープの送り出しが早すぎると転落時に落下距離が増え,遅すぎるとクライマーは下に引っ張られるのでクライマーをしっかりみて調整しましょう.

 クライマーが万が一転落したときは制動手(右手)を握ることでロープにテンション(張る力)がかかりクライマーの落下を最小限にすることができます.いつ落下するかわからないので右手は絶対に話さないようにしましょう

まとめ

 初心者がバリエーションルートに行くにあたって最低限必要なロープワークについて紹介してきました.繰り返し練習してスムーズな動作ができるようにしましょう!!

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