産業医になろう|令和3年度産業医学基礎研修会集中講座

産業医になろう 医療
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 産業医という仕事を聞いたことがありますか? 産業医は病院ではなく企業で働く医師のことです.

 産業医になるためにはいくつかの方法があります.ここでは産業医になるための具体的な方法と筆者がおすすめする産業医学研修会集中講座の様子を紹介していきます.

産業医とは?

 病院で行われる臨床医学とは別の医学分野として社会医学があります.そのひとつに産業医学は位置しています.病院で行われる臨床医学は病気を治す医療ですが,社会医学は疾病の発症予防や健康増進などに重い気を置いています.その中でも企業をはじめとした労働者に重点を置いたものを産業医学といいます.

 産業医は,労働安全衛生法に基づき事業場における働者の健康管理仕事に関連した疾病の予防労働環境の向上などについて専門的な立場から指導や助言を行う医師のことをいいます.

 産業医は,通常病院で行われるような診察は行いません.かわりに職場巡視といった職場の危険個所がないかなどの視察や復職時面談などを行います.

産業医

産業医になるメリットは?

 産業医になるメリットはいくつかあります.

  • 社会とのかかわりをもてる
  • 臨床医と並行して行うことができる
  • 予防の観点から医学に関わることができる
  • ワークライフバランスが優れている

 通常医師は病院に勤めており限られた社会での生活になります.産業医は基本的には企業に所属するため医療関係以外とのかかわりと持つことができます.また臨床医をやりながら空いた時間に産業医を行うこともできます.

 また産業医の魅力のひとつは予防医学という点でしょう.生活習慣病をはじめ,仕事の関係した疾病も産業医の工夫ひとつで予防することができるためやりがいがあります.

 最後にワークライフバランスが優れていることも産業医の魅力でしょう.

 産業医は病棟診療を行わないため時間外の呼び出しや土日の日当直がありません.一方で給与面も臨床医とあまり変わらない程度保障されています.家庭や趣味に重きを置きたい人にとっては選択肢の一つになるでしょう.

自由

産業医になるには?

 そんな魅力が沢山ある産業医ですが,すべての医師が産業医になれるわけではありません.

 産業医の「資格」はありませんが,産業医として働くための条件が労働安全衛生規則に記載されています.

産業医をやるための条件(労働安全衛生規則第14条第2項)
  1. 労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識についての研修であって厚生労働大臣が指定する者が行うものを修了した者
  2. 産業医の養成等を行うことを目的とする医学の正規の課程を設置している産業医科大学その他の大学であってその大学が定める実習を履修したもの
  3. 労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が保健衛生であるもの
  4. 学校教育法による大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授又は講師の職にあり、又はあった者
  5. その他厚生労働大臣が定める者

 うーん,少しわかりにくいですね.

 2021年現在,産業医になるには大きく4つの方法が選択肢になってきます.

具体的な産業医になるための方法
  1. 産業医科大学を卒業する 
  2. 医師会認定産業医を取得する 
  3. 産業医科大学主催の研修会を受講する 【おすすめ】
  4. 労働衛生コンサルタント試験に合格する 

 それぞれ

1. 産業医科大学を卒業する

 一番確実な方法ですが,すでに産業医科大学以外の医学部に入学している人は選べない選択肢です.産業医科大学の卒業生は卒業と同時に更新不要の産業医の資格が手に入ります.

2. 医師会認定産業医を取得する

 一番定番の方法です.この方法であれば日常臨床を行いながらでも産業医の資格を取得することができます.基礎研修40単位と実地研修10単位の合計50単位の研修を受けることで申請することができます.

 研修は各種地方の医師会が主催するもののほかに, 東京医科歯科大学や獨協大学,自治医科大学などが主催する集中講座もあります.これらの集中講座では1週間程度かけて50単位を取得することができます.

 医師会認定産業医は5年ごとの更新があるため取得後も継続した研鑽が必要になります.

日本医師会・認定産業医サイト
https://www.tmd-ishikai.jp/info/training_32.html
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3. 産業医科大学主催の研修会を受講する【おすすめ!!】

 産業医科大学主催の研修会を受講することでも産業医として働くことができます.

 筆者としてはこの産業医科大学主催の夏季集中講座を受けることを圧倒的におすすめします.

 これは医師会認定産業医とは別の方法になります.毎年夏に北九州で行われる1週間の研修会では50単位を受講することができこの研修会の終了証を持っていると産業医として働くことができます.合わせて医師会認定産業医の申請に必要な50単位としても認められます.

 医師会認定産業医の申請を行った場合には5年ごとの更新が必要となりますが,この講習会を受ければ基本的には更新不要で産業医として働くことができます.

産業医
産業医科大学|産業医学・産業保健

4. 労働衛生コンサルタント試験に合格する

 最後の方法が労働衛生コンサルタント試験に合格することです.ですがこの方法で産業医になった医師はであったことがありません.合格率3割程度の難関国家資格であり,臨床業務をやりながら勉強をするというのは一般的にはなかなかハードルが高いように思います.

産業医学基礎研修会集中講座@産業医科大学

申し込み

 例年は前年度の6月頃から申し込みが開始しますが,令和になってからは新型コロナウイルス感染症の影響で不規則になっています.申し込みは早いもの順で枠が埋まり定員になったところで次年度の研修会は締め切ります.

受講までの流れ

 申し込みした年度の4月になると「意思確認メール」なるものが上位1000人に届きます.ここで漏れてしまった場合にはさらに次年度の申し込みが自動でなされます.1000人抜けた分が繰り越されるようです.

 通常集中講座は7月末と8月頭の2回行われます(各500人ずつ).意思確認メールの返事をするときにどちらを希望するか選択します.

 その後,参加費(100000円+税)の振り込みを行い,7月上旬に参加証や領収証等が手元に届きます.

実際の様子

産業医

 夏季集中講座は6日間の長丁場です.

 初日と最終日はそれぞれ半日ですが,中4日はみっちり1日10時間の講義を受けます.途中の1日は実地研修の時間もあり,グループディスカッションや個人ワークを行います.

 50単位受講を終了すると修了証を受け取ることができこの修了証があればはれて産業医としては田倉ことができます.

まとめ

 産業医について紹介してきました.産業医には様々なメリットがあり魅力的な仕事です.医師の選択肢の一つとして考えてみてはいかがでしょうか.

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