普段やっているけどそれってよく考えたら結構危ないよね?っていうやつ

アルパインクライミング

こんにちは!にわかアルピニストです.

皆さんはクライミングをするときに安全には気を使っていますか?

この質問の答えは言うまでもなく”YES”だと思います.

 筆者ももちろん安全には十分に配慮していますが,それでも後から振り返ると『あれって危なかったな』というようなことは多々あります.この記事ではそんな日常的についついやってしまっているヒヤリハットを紹介していきます.

ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)

 皆さんは『ハインリッヒの法則』というのを聞いたことがありますか?

 この法則はアメリカの損害保険会社の安全技師であったハインリッという人物が発表したもので,いろんな分野でいわれているので職場などで(もちろん山でも)聞いたことがあるという人も少なくないと思います.具体的な内容としては

「同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重い災害(死亡や手足の切断等の大事故のみではない。)があったとすると、29回の軽傷(応急手当だけですむかすり傷)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの)を300回起こしている。」

 というもので,さらに300回の無傷害事故(ヒヤリハット)の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。

 山やクライミングのシーンでは様々な事故や遭難などのニュースを見たり聞いたりしますが,その裏にはかなりの数のヒヤリハット,そして無数の不安全行為や不安前状態があるはずです.

 ただ難しいのはこのヒヤリハット,あるいは不安全行為・状態についてはなかなか認知が難しいということです.本来であれば労働安全の場面でも行われているような体系的なリスクアセスメントが趣味である登山・クライミングでも行われるべきなのかもしれません.

それって危ないよね?具体例

 ここからは筆者が経験した不安全行為・状態について紹介します.実は,これらの多くはそれをやっているその瞬間にはそれが不安全行為・状態であることに気がついていません.あるいは気がついても『大丈夫だろう』と軽視しています.後々になって『結構危ないよね?』となったものがほとんどです.全然網羅的ではないので思いつき次第,順次追加していきます.

 ビレイ編,クライマー編,共通編として紹介していきます.

ビレイ編

 まずはビレイに関してですが,ビレイに関してはそもそもが安全にかかわる要素が多く注意しているためかそこまで数は思い浮かびませんでした.

ATCを使っての素手でのビレイ

 最近は自分はグリグリやネオックスなどのオートロック機能付きのビレイデバイスを使いますが,ATCでビレイをする際に手間だからと言ってグローブを着用しなかったことがあります.また自分以外でも時折そういう人を見かけます.フォールしたときにロープバーンが生じてとっさに手を離さないかな?と心配になります.本来ならオートロック機能付きでもグローブをした方がいいんだろうなぁと反省しています.

クライマー編

 続いてクライマー編です.クライミングしている最中にはクライミング行為自体に集中しているため結構雑になってしまうところがあります.

カラビナ1枚でのトップロープ

 トップロープをする際に毎回結ぶのが面倒だからとカラビナで代用することがあります.その時にカラビナ1枚だとマイナーアクシスになったり,ゲートが開いてしまったりなど実はあぶなかったりします.

カムのスライド

 クラッククライミングの場面で同じサイズのクラックが続くときに,カムの節約をするために一度決めたカムをスライドすることは珍しくありません.ですがスライドしている最中にフォールすると結構なランナウトの状態でフォールすることになります.筆者はなるべくクラックの外に出さずにスライドしていますがそれでもこの瞬間のフォールには注意です.

オポジションなしのナッツセット

 ナッツをセットするときに教科書的には必要に応じてオポジションをセットするように書かれていますがほとんどやったことありません.なので実際にクライミングしている最中にボトミングできめたナッツが上に引かれて外れていたなんてことはよくあります.フリークライミングの真っただ中はともかく,登り始めやアルパインなどではなるべくオポジションもセットするようにしたいです.

屈曲点での延長なし

 フリーにせよアルパインにせよ屈曲した状態で登っていくと摩擦で次第にロープが重くなります.これだけならまだよいのですが,実はこの時,理論上はクライマーや支点にかかる衝撃荷重は大きくなります.そうなると怪我のリスクや支点が崩壊するリスクが高まるためやはりロープはなるべく屈曲させずに登りたいです.

必要性のない場面でのガースヒッチ

 例えば立ち木に支点をとる時などに何気なくガースヒッチを使うクライマーは多いと思います.これがナイロンスリングであればまだマシですが,ダイニーマスリングの場合はちょっと気を使う必要があります.

 後でも出てきますが,ダイニーマは結び目を作ると強度が低下することがわかっています.スリングそのものの強度は22kNほどとなっていますが,これがガースヒッチで結ぶと10kNくらいまで低下します.BDのキャメロットの強度が#0.5で12kN,それ以上で14kNなのでカムよりも強度が落ちます.

 いくら中間支点には2倍程度の荷重がかかるといっても10kNの力がかかるほどのフォールはなかなか経験することはありませんが,この点は知っておいた方がいいことは間違いないでしょう.

共通編

 最後に共通編としてそのほかの全般的なところです.

アルパインでの流動分散

 クライミングを始めると「支点構築には流動分散と固定分散があって……」と習い,実際のアルパインクライミングの場面では状況に応じて使い分けますが,実はガイドさんなんかだと固定分散しか使わないという人もいます.

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 固定分散に比べて流動分散だと万が一片方の支点が崩壊した場合にもう一方の支点も併せて崩壊する可能性がけっこう高くなります.もちろん流動分散の方が扱いやすいですが,このことを知らずに盲目的に流動分散を使うのは結構危ないかもしれません.

ダイニーマでの固定分散

 一方で固定分散も完全に安全かというとそうではありません.前述のようにダイニーマの場合は結び目を作ると強度が低下するため固定分散の際にはこの点に注意が必要です.ですが先ほどのガースヒッチとは異なり,ビレイ点におちてはそこまで強い荷重がかかることは稀なので現実的に問題となることは少ないそうですが.

環付きの扱い

 安全環付きカラビナはゲートが不意に開かないような構造になっているカラビナですが,このカラビナを使う以上は安全環を閉めるようにしています.ですがこの安全環の閉めが不十分だと作業している最中に緩んできてしまうことがあります.

末端処理なしでの懸垂下降&トップロープ・ロワーダウン

 懸垂下降やトップロープ,あるいはロワーダウン時の末端処理は基本の『キ』ですが,目視で大丈夫だろうと判断したときやロープが明らかに下についているときには省くことがあります.確かにこれらの場面では問題ないのでしょうが,そういう習慣がついてしまうといざという時に大事故が起こる可能性があるので注意しなければと反省しています.

二峰からの懸垂下降
二峰からの懸垂下降

長年のギアの使用 特にスリング

 実は多くのクライミングギアのメーカー取扱説明書には『寿命』に対して言及されている文面があります.例えばブラックダイヤモンドのソウスリングに関してはしっかりと『3年』と書かれています.実際にこれを守っている人ってどのくらいいるんですかね? 

ブラックダイヤモンド ソウランナー&ドッグボーン取扱説明書より引用

 『厳密にこれを守るべし』とまでは言いませんが,半永久的に使えるものではなくて耐用年数があるものだという認識は必要です.

まとめ

 登山やクライミングってリスクがあるスポーツなのに『なんとなく』とか『そう教えられてから』あっているファジーな部分って結構多い気がします.感度を高くして積極的に情報収集することが命を守ることにつながるんだなとこの記事を書いていた改めて痛感しました.

 多分まだまだリスクのあることをやっている可能性がありますが,盲目的にならずに自分のやっていることを振り返ることが大事ですね.

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