冬の北アルプスというと厳しい険しい稜線,深いラッセル,厳しい気象条件など一般の登山者にとっては近寄りがたい存在です.特に槍ヶ岳や穂高連峰を代表とする北アルプス南部は閉ざされた世界のようにも感じます.
そんな中で比較的ルートの難易度が低く,経験が浅くても険しい槍穂に近づけるルートがあるんです!!それが常念岳東尾根というバリエーションルートです!!
このページでは常念岳東尾根について紹介していきます.
常念岳って?
常念岳は北アルプス南部の常念山脈に位置する標高2857mの山で日本百名山のひとつです.安曇野市街からもその全容を展望することができ,ピラミッド型の山容が特徴的です.常念岳は槍ヶ岳を真正面に望める絶好のロケーションのため無雪期には多くの登山者が訪れます.
そんな常念岳ですが,無雪期には一般的な入山経路である一ノ沢や三俣が沢筋のため雪崩のリスクがあり,蝶ヶ岳や表銀座からの縦走を除く唯一の入山方法が常念岳東尾根からの入山になります.
常念岳東尾根
常念岳東尾根は常念岳の東側に延びる長い尾根で登山口との標高差は2200mほどあります.普段は藪に覆われており雪が積もらないと登ることができない冬季限定のバリエーションルートになります.
バリエーションルートというとロープワークやクライミングの技術が必要な上級者向けのルートをイメージするかもしれません.しかし,常念岳東尾根はルート自体はそれほど難しくなく,冬山登山経験の浅い人でも十分に登ることができます.
アプローチ&取付
常念岳東尾根には「ほりでーゆー」さんから少し進んだ須砂渡ゲートから入山します.無雪期にはこのゲートをこえて三俣まで入れるのですが積雪期はこのゲートから歩きます.ゲートの前に10台ほど停められるスペースがあるので通行の邪魔にならないようにとめましょう.
須砂渡ゲートから3㎞ほどの林道をあるくと右側に鉄塔の点検のために使われる小道が現れます.「No62」という標識が目印になりますのでここから右側の道に入ります.15分ほど登ると開けたところに出て鉄塔が現れます.
樹林帯
鉄塔が現れたらここから西に向かって尾根を登りだします.トレースがあればわかりやすいですがピンクテープがついているので目印にしましょう.
鉄塔付近の標高がだいたい1000mくらいになります.ここから幕営適地までおよそ標高差1000mを登ります.傾斜の緩く幅の広い尾根道がひたすら続きます.1950mくらいから2150mくらいの樹林帯にある通常幕営適地は山ほどスペースがあるのでゆっくり登っても十分に幕営できます.2200mくらいで樹林帯を抜けた先にも幕営できる場所はありますが疎林になるのでしっかりとした防風対策が必要になってきます.
前常念岳
2200m付近の森林限界をこえてからは雪稜歩きが続きます.2~300m登ると少しずつ岩が出てきます.2662mの前常念岳までのこの岩稜帯の登りがこのルートの核心です.ですが,岩登りといった感じではなく岩の間の雪面を歩いたり,岩場を巻いて歩いたりすることもできるのでアイゼンをひっかけないように注意して歩けば問題ありません.
常念岳
前常念岳からは再び雪稜歩きになります.正面に常念岳をとらえその後ろには前穂高岳北尾根が美しく伸びています.また背後には安曇野市街が一望できます.
緩やかな雪稜を歩き,常念山脈の主稜線と合流するあたりでやややせた部分があるので注意が必要です.主稜線にでるとあとは目の前の常念岳まで一登りです.ここまでくると正面に槍ヶ岳をとらえることができモチベーションも上がります.しまった雪の斜面になるのでアイゼンを効かせながら一歩一歩確実に登りましょう.
右手に槍穂高を望みながら10分ほど登れば常念岳頂上に到着します.
常念岳は無雪期でも槍穂の展望台として人気の山ですが,冬のこの景色はまた格別です.記念撮影をしたら来た道を下ります.危険個所はそれほどありませんがアイゼン,ピッケルをしっかり効かせながら注意して下りましょう.
まとめ
厳しい冬の北アルプスの中でも比較的登りやすいルートである常念岳東尾根の紹介をしてきました!アプローチしやすく厳冬期に槍ヶ岳や穂高連峰を望める素晴らしいルートです.ぜひ一度挑戦してみてはいかがでしょうか?
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