霞沢岳って知ってますか?
名前は知らなくても穂高に登ったことがある人なら一度は目にしたことがあるはずです!霞沢岳は上高地を挟んで穂高と対面している山でそこからの穂高連峰の展望は随一です.
今回はそんな霞沢岳の西尾根というバリエーションルートについて紹介していきます!!
霞沢岳って知ってますか?
「霞沢岳」...
常念山脈の南端に位置する2646mの山ですがメジャーな縦走路から外れていたり,アプローチが不便だったりなど人気の山域である北アルプスにおいて比較的入山者の少ない山です.名前を聞いたことがないという人もいるかもしれません.ですが穂高連峰に登ったことがある人ならきっとその山容は見たことがあるはずです!!
穂高連峰とは上高地を挟んで対面しているため穂高からは霞沢岳が,逆に霞沢岳からは穂高連峰を間近に見ることができます.「最高の穂高連峰を望む!」そういった目的で霞沢岳を目指す人も少なくありません.
冬に霞沢岳に登るルート
無雪期には上高地あるいは新島々から徳本峠を経由してからピークを踏むことができない霞沢岳ですが,冬には以下の3つのルートからアプローチすることができます.
- 徳本峠経由
- 南尾根
- 西尾根
徳本峠経由
まずは無雪期と同様に徳本峠経由で登るルートです.冬場は上高地までバスがないので,中ノ湯から歩いて上高地に入ります.上高地から徳本峠まで登り,霞沢岳を目指します.
南尾根
続いてのルートは南尾根です.こちらは沢渡の方から長い尾根を登って霞沢岳にアプローチする方法です.雪がついた時だけに登れる冬季限定ルートです.
西尾根
西尾根も南尾根と同様冬季限定ルートになります.ただ尾根が短い分南尾根より急登が多かったり,途中に雪壁や場合によってはロープが必要になる岩稜帯があったりなどアルパイン要素が強いルートになります.
今回はこの西尾根について紹介していきます.
霞沢岳西尾根
霞沢岳西尾根は霞沢岳の真西に延びる尾根で,短い尾根ですがその分急登が多く,途中に雪壁や岩稜帯があるバリエーションルートです.ですがそれぞれの難易度はそれほど高くなく,アルパインクライミング入門者のステップアップにちょうどよいルートです.
中ノ湯~釜トンネル~上高地トンネル
霞沢岳西尾根は上高地に行く途中,大正池の手前から取付きます.上高地方面に向かうために,釜トンネルを進んでいきます.この釜トンネルが長さ1.3㎞,傾斜11%と長いうえに若干登りになっているため出だしから骨が折れます.
長い登りの釜トンネルを抜けると次は釜トンネルと比べると短い上高地トンネルを進んでいきます.
西尾根取付き~樹林帯
上高地トンネルを抜けて5分ほど歩くと右手に国土交通省の看板がみえてきます.この看板の後ろにある尾根が西尾根になります.末端からではなく,少し入ったところで尾根の南側から取付きます.
霞沢岳西尾根は標高差1100mほどで初日は2000m付近の幕営適地まで500m程度上がるだけです.尾根自体もそれほど長くありませんが,短い分全体的に登りがきつくなっています.比較的やせた尾根に加えて,短いものの最大傾斜60度くらいある雪壁もあり標高差の割には登りごたえのあるルートです.雪の状況によっては思いのほか早くアイゼンをつける羽目になるかもしれません.
二股に分かれた尾根が合流する標高2050m~2150mくらいに幕営適地がありますがいずれもそれほど広くはなく2~3人用テントくらいが限界でしょう.
樹林帯~核心の岩稜帯~霞沢岳頂上
2日目の行程も急登から始まります.樹林帯の中をひたすら3~400mほど登ると徐々にやせ尾根になってきます.2450m付近からのやせ尾根を進むといよいよ核心の岩稜帯です.
下の写真の正面が核心の岩場です.20mくらいⅡ級程度の易しい岩場が続きます.フィックスロープが何本もあり決して難しいパートではありませんが,パーティの実力や雪の付き方によってはロープで確保した方が無難でしょう.
核心をこえて少し上るとだだっ広い霞沢岳の頂上に到着します.真の頂上は東寄りにあるので西尾根から登ると頂上にたどり着くまでに深い雪に苦しめられる場合もあります.
(本来ならこの頂上から穂高連峰や笠ヶ岳の絶景が拝めるのですが,残念ながらこの日は低気圧のため視界はゼロでした...)
同ルート下降になりますが,核心部は懸垂下降をした方が安全でしょう.灌木で支点をとることができそうです.そのほかの場所も急峻なので一歩一歩注意して下降していきましょう.
まとめ
霞沢岳西尾根を紹介してきました.確実なアイゼンワークやピッケルワークが冬山のステップアップに程よいルートです.懸垂下降などちょっとしたアクセントもありアルパイン気分を満喫できるのではないでしょうか?
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