アルパインクライミングをはじめるには山岳会に入ったり,経験者に同行したり,ガイドを利用したりなどいくつかの方法があります.
でも,せっかくアルパインクライミングをはじめるなら早くルートに行きたいですよね.ただ,山岳会も,経験者も,ガイドツアーも段階的で最初は近くのジムや岩場でのトレーニングになるでしょう.
本項では,そんなときに少しでも早くステップアップできるよう手助けしてくれる書籍を紹介していきます.
筆者がおすすめするアルパインクライミングの入門書は
- アルパインクライミング教本
- 登山技術全書⑥アルパインクライミング
- イラストクライミング
の3冊になります.
目次
アルパインクライミングをはじめるにあたって
アルパインクライミングは一般的な登山とは違い,バリエーションルートを進み,かつ岩登りをはじめとしたクライミングの要素がでてきます.クライミングは危険なスポーツであり,特に山岳地帯のクライミングではロープワークや安全確保技術などをしっかり習得してからでないと命取りになります.
一番確実な技術の習得方法は山岳会や経験者,ガイドなどに同行し直接教わることですが,学ぶべき技術がとても多く実際のルートに行くまでは時間がかかります.
そんなときにこれから紹介する書籍を参考にすることで,技術の習得を早めたり,付加的な知識を身に着けたりすることができます.結果として早く岩場に行くことができます.
もちろんこれらの本を読むだけではアルパインクライミングはできませんが,全体像をつかんだり,不足した知識を補ったりするのにきっと役立つでしょう.
アルパインクライミング教本
出版社:山と渓谷社,2020年
著 者:笹倉孝昭
価 格:2000円+税
アルパインクライミング教本は,海外でのクライミング経験も有する山岳ガイドの笹倉孝昭氏によって書かれた本格的なアルパインクライミングの教科書です.もっとも新しいアルパインクライミングの参考書籍になります.
この書籍の特徴は,アルパインクライミング必要な技術が本番を意識して書いてある点です.
一般的なアルパインクライミングの参考書には書いていないような「アルピニストの思考法」や「プランニング」,「歩行技術」,「チームマネージメントの方法」などが記載されています.これらの技術は一見見落とされがちですが,アルパインクライミングに必須のものとなっています.
また当然,ギアの紹介やクライミングシステムについての解説もあります.イラストや写真をもちいてわかりやすく解説しています.岩場で学んだことを復習する際にイラストがあるのでイメージを持ちやすいでしょう.
最後には厳選された15ルートのルート図も載っています.これらのルートはトレーニングルートに始まり,グレードが比較的低めでアルパインクライミング入門者向けのルートになっています.どのルートも優しいだけではなく,ロケーションやルートの魅力も合わせて素晴らしいルートなのでぜひ挑戦してみてください.
この一冊があればアルパインクライミングにいくのに不十分はないはずです!!
登山技術全書⑥アルパインクライミング
出版社:山と渓谷社,2007年
著 者:保科雅則
価 格: 2200円 +税
著者の保科雅則氏は以前に山岳ガイドとして働いていたこともありアルパイン,フリー,ビッグウォール,アイスなど幅広いジャンルでのクライミング活動をされていた方です.
この書籍のおすすめポイントはアルパインクライミングがジャンルごとに体系だって解説されている点です.著者が幅広いジャンルで活動していたこともあって,それぞれのジャンルについて詳しく記載されています.写真がたくさんのっていることも心強いです.
無雪期のアルパインクライミングだけではなく,雪山登山やアイスクライミングなどにも興味がある人はこの一冊があれば十分な知識が網羅されることでしょう.
雪山で必要な装備に始まり,雪上歩行,雪山での確保技術,アイスクライミングでの登攀方法,支点構築の方法など必要な知識・技術が細かく記載されているので実際にルートに行く前にイメージを持つことができます.
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雪山技術についてやアイスクライミングについてもわかりやすく解説してあります.
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やや古い書籍にはなりますが,現在でも十分に通用する技術が沢山記載されており読み返すごとに新しい発見のある一冊です.
また近年,「ヤマケイ登山学校 アルパインクライミング」とリニューアルされているのでこちらもおすすめです.
イラストクライミング 増補改訂新版
出版社:東京新聞,2012年
著 者:阿部亮樹
価 格:2200円+税
クライマーとして活動する一方で,登山雑誌「岳人」など多くのイラストを手掛けているイラストレーターとしても活動しています.
本書は前半で基礎的な部分としてギアや結び方の解説をしており,後半ではクライミングの実際の流れをイラストで分かりやすく紹介しています.クライミングシステムをイラストで描いてある書籍はおそらく本書だけであり,初心者だけではなく中級者でもクライミングシステムの深い理解に役立ちます.
クライミングをするすべての人が必携の一冊です.
前半部分では単にギアの紹介だけではなく使い方も図示されており,実際に触る前でもイメージを持ちやすくなっています.特に始めたばかりでギアに触れる機会が少ない人などはその日の復習に役立ちます.
後半部分ではシングルロープ,バックロープ,ダブルロープとクライミングシステムごとに解説しており,ロープワークだけではなくクライマーが岩場でやってしまいそうなミス等についても実際の流れにそって記載されており岩場に行く前からイメージを沸かせることができます.
番外編:ルート図
以上紹介してきたのはアルパインクライミングの基礎的な知識を学べる書籍でした.
ある程度基礎的な知識・技術が伴い,岩場での練習を経た後はいよいよ本番です.これから紹介する書籍は岩場の情報が記載されているルート図になります.
登山大系
なんといっても王道は登山大系でしょう.
登山大系は全10冊で構成され各地域ごとのクライミングエリアが詳細に記載されています.登山ブームの走りで各山岳会がルート開拓をしていた記録をもとに作成されています.
そのため人気のエリアはもちろん,一般的なルート図に乗っていないようなローカルなエリアでも詳しく乗っているのが特徴です.
1冊ごとの値段はそれほど高くないので自分の行きたいエリアの登山体系を購入してみてはどうでしょうか?
チャレンジアルパインクライミング
チャレンジアルパインクライミングはサラリーマンアルパインクライマーである廣川健太郎氏が作成したルート図で,いわゆる人気ルートのトポを写真付きで詳細に記載されています.
アルパインクライミングをはじめたばかりの人がぜひとも行きたいルートが盛りだくさんでぜひとも購入したい一冊ですが,残念ながら絶版となっておりなかなか手に入りません.
日本の岩場
日本の岩場は「アイスクライミング」「冬期クライミング」「マルチピッチルートスーパーガイド」など「climbing guidebooks」シリーズの一冊になります.
こちらも人気のルートに厳選したルート図が乗っています.「北アルプス編」の下巻が入手しにくいですが,上巻は価格も高くなくぜひとも手元に置いておきたい一冊です.
まとめ
アルパインクライミングに関する書籍を紹介してきました.一番の上達は岩場にいって練習することですがこれらの書籍を活用することでより効率的にステップアップができます.
これからアルパインクライミングをはじめるひとはぜひ参考にしてみてください.
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