御在所岳中尾根|クラックルートでアルパインクライミングのステップアップ

アルパインクライミング
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 本格的なロッククライミングが日帰りで楽しめる御在所岳.そんな御在所で一番人気のクライミングルートといえば日帰りでマルチピッチクライミングが楽しめる前尾根でしょう.ですが御在所には他にもマルチピッチクライミングが楽しめるルートがあるんです!!

 今回は,一段階ステップアップしてみたい人他のルートも楽しみたい人におすすめな中尾根について紹介していきます.中尾根ではきっと前尾根とはまた一味違った刺激的で爽快感のあるクライミングが楽しめるでしょう!!

こんな人には中尾根がおすすめ!!
  • 前尾根を登ってクライミングが楽しくなった!!
  • 前尾根より少しレベルを上げたルートにチャレンジしてみたい!!
  • クラッククライミングが大好きです!!
  • アルパインクライミングをやりたいけど,アルプスとか本番のルートはまだ少し怖い..

御在所岳って?

 御在所岳と言えば何を想像しますか?

 ロープウェイ?スキー場?奇岩?紅葉?...

 御在所にはいろいろな顔があり,それに応じた楽しみ方があります.今回は「クライミングのメッカ」としての御在所岳を紹介していきます.

 御在所の裏道登山道から小1時間歩いた場所にある藤内壁(とうないへき)は古くは戦前からクライミングが行われており,クライミングをする人であれば知らない人はいません!!関西・東海圏から日帰りで行ける手軽さと,一方で本格的なクライミングを楽しめる岩場として週末には多くのクライマーで賑わいます.

藤内壁
藤内壁

 御在所ではクライミングに初めて挑戦する人から一流のクライマーまで十分に楽しめるためルートがそろっています.前回に記事で紹介した御在所岳の前尾根は,クライミングを始めたばかりのにおすすめのマルチピッチルートになります.

中尾根はどんなルート?

 今回紹介する中尾根は本格的なアルパインクライミングが楽しめるマルチピッチルートです.それぞれ上からP1,P2,P3,P4と称される4つのピークで構成されており,それぞれの岩壁にあるクラックのラインに沿って登っていきます.

 ですが必ずしもクラッククライミングの技術が必要ではなく,フェイスクライミング的な登り方でも十分に登れます.またチムニーなどもあり立体的なクライミングが楽しめます.ルートの内容は前尾根よりも難しいパートが多く,前尾根の次のステップとしておすすめのルートです.

中尾根全景
中尾根全景

 中尾根の限らず御在所のルートは終了点や懸垂支点に強固なハンガーボルトが設置されており,安心して登れるためアルプスなど本番のアルパインクライミングのトレーニングルートとしても最適です.注意点としては中尾根のP4,P3には中間支点としてのボルトがなくカムなどのナチュラルプロテクションでランニングビレイをとる必要があります.

中尾根にある腐食したハーケン
中尾根にある腐食したハーケン.これでは心配.

 また中尾根から帰るには懸垂下降をする必要があり,クライミングだけではなくナチュラルプロテクションや懸垂下降まで様々な技術の確認ができる好ルートです!!

アプローチ

 初めて中尾根に行く人にとって第一の核心はアプローチです.前尾根や一壁,中尾根バットレスと比べるとアプローチがわかりにくく,道も悪いため注意が必要です.

 中尾根へのアプローチは3つの方法があります.

  1. 一壁からバットレス基部を通り,1ルンゼ右俣を横断し藤内沢側から巻く
  2. 一壁からバットレス基部を通り,1ルンゼ右俣をツルムのコルまで登攀し,P3を一壁側に巻いてP4終了点から懸垂下降をする
  3. 藤内沢をつめてのち2ルンゼを登る

 ここでは比較的一般的なアプローチである1.と2.の方法を紹介します.

中尾根取付へのアプローチ
中尾根取付へのアプローチ

1.一壁からバットレス基部を通り,1ルンゼ右俣を横断し藤内沢側から巻く

 一番一般的なアプローチです.まず一壁の右端から踏み跡に沿ってバットレスのとりつきまで行きます.その後バットレスの基部を下図のように歩き,5分ほどで合流する1ルンゼを横断します.このあたりでモンキーフェイスの岩が目の前に見えますがこれを藤内沢小屋に巻きます.

中尾根取付へのアプロ―チ(一壁側から)
中尾根取付へのアプロ―チ(一壁側から)

 ここの道は踏み跡こそありますが,谷側が崩れたトラバース,足場の悪い急斜面を笹をつかみながらの下降,落ちたら藤内沢まで滑落するⅡ級程度の岩登りなど気を遣うところが多いです.一壁から15-20分程度で中尾根の取付に到着できる最短の方法です.

モンキーフェイスの岩の基部
笹をつかみながらの下降
崩れたトラバース

2.一壁からバットレス基部を通り,1ルンゼ右俣をツルムのコルまで登攀し,P3を一壁側に巻いてP4終了点から懸垂下降をする

 この方法は1.よりも時間はかかりますが比較的安全にアプローチできます.1ルンゼまでは先ほどと同じですが,今回は横断せずに1ルンゼ右俣をそのまま登ります.Ⅳ級程度なのでロープを出して登るのが一般的でしょうか.岩場を登るとツルムのコルにでます.ツルムのコルからはP3を一壁側に巻くことで簡単にP4の終了点に到着します.ここから懸垂下降をして取付までアプローチします.

1ルンゼ右俣(Ⅳ)

 ロープを出しての登攀に加えて懸垂下降があるため時間はかかりますが,このアプローチのメリットはツルムのコルにザックをデポできることです.P4やP3ではチムニー状の凹角を登るためザックがあると苦しくなります.

中尾根

 中尾根は4つのピークを6ピッチで登るマルチピッチルートです.実際はP1は登らずに下降するパーティも多いですがP2までの登攀でも十分にアルパインクライミングを満喫できます.

中尾根全景

P4 展望台(Ⅴ)

 P4の下部(1P目)はハンド~フィストサイズのクラックに沿って登ります.クラックに沿って登りますがクラック内,フェイス面にスタンス・ホールドは豊富にあります.後半はクラックの中に入ったり出たりしながら立体的なクライミングを楽しめます.チョックストーンを超えるとテラスに出て1P目終了です.

P4 1P目

 2P目は短いピッチですがでだしはやや厳しめです.フェイス的な登りですぐにクラックの中に入って登っていきます.展望台と呼ばれる気持ちのいいテラスが終了点です.ここからP3のとりつきまでは易しい岩場をクライムダウンしていきます.

P4 2P目

P3 ツルム(Ⅴ)

 P3もクラックに沿って登っていきます.後半は体をクラックの中に入れての苦しいクライミングです.周囲にあるホールドを探しながら進んでいきます.最後は岩の割れ目に挟まってビレイをします.

P3

P2 オニギリ(?→Ⅴ)

 P2の三角形の岩がいくつか合わさってできています.一つ目の三角形のピークが1ピッチ目の終了点です.ここまでは3つほどルートがありますが,Ⅳ級のトラバースルート,5.10bのダイレクトルートは出だしが崩壊しておりアブミをかけて登られることが多いです.別の選択肢としてフレークに沿ってトラバースし,後半は三角形の左側のスラブを登るというルートもあります.Ⅴ級くらいでしょうか?

P2 1P目でだし
P2 1P目

 2P目はオニギリと呼ばれる三角形のピークを目指して登っていきます.中尾根にしては珍しくボルトのあるルートですが,ルートファインディングが難しく,間違ったルートに行くとプロテクションがないのでカムは必携です!

P2 2P目

P1 (Ⅴ+)

 P1は登られないことも多いルートです.大きなクラックの中にすっぽりと入りながら登っていきます.

P1

バリエーションルート「クラックライン」

 これまで紹介してきたのは中尾根を正面(藤内沢側)から登る一般的なルートですが,一壁側にあるクラックのルートをつないで3Pのマルチピッチクライミングのルートとしても登攀可能です.一般ルートに比べるとしっかりとしたクラック技術が必要でグレードも上がるのでしっかりとトレーニングして挑戦してみましょう!!

クラックライン

まとめ

 御在所岳のマルチピッチルートである中尾根について紹介してきました.内容やグレードなど前尾根とは一味違ったクライミングが楽しめる好ルートです.前尾根の次のステップとしてトライしてみてはいかがでしょうか?日帰りでも行けるのでおすすめです!!

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