ベルジュエール|瑞牆で王道マルチピッチクライミング

トラッドクライミング
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 瑞牆山はいまや週末になると多くのクライマーで賑わう人気エリアですが,瑞牆を楽しむにおいては何といってもトラディショナル・クライミング(トラッドクライミング)のマルチピッチルートは外せません.その中でも今回紹介するベルジュエールは今から40年前の瑞牆黎明期に開拓され,今なお人気ナンバーワンと言っても過言ではない王道のクラッシックルートになります!!

十一面岩正面壁

 ベルジュエールは日本有数の岩峰である十一面岩にあるルートで,頂上までおよそ300mをクラック,チムニー,フェイス,スラブなど多彩なクライミングで登っていきます.その内容は40年たったいまでも色あせることはなく,クラッククライマーはもちろんのこと,すべてのクライマーに登ってほしいルートです.

これがベルジュエールだ!!
  • 瑞牆を代表する王道クラッシックルート
  • クラック,チムニー,フェイス,スラブなど多彩なクライミング
  • すべてのピッチに星がつくレベルの好ルート
  • ナチュラルプロテクション主体だけど要所要所には安心のボルト
  • 約300mのビッグスケール

ベルジュエールとは

 ベルジュエールは国内最大級の花崗岩のクライミングエリアである瑞牆山に位置する十一面岩という岩壁に引かれたルートです.日本でそれまで主流であったアルパインクライミングとは一線を画すフリークライミングの追及がはじまった1980年代初頭に作られました.しかし当初は1P目に人工登攀を残したままであり,完全フリー化されたのは1990年になってからのことです.いまでは国内有数のマルチピッチフリールートとなっています.

花崗岩クライミングのエッセンスを存分に味わえる国内を代用する名ルートである。海外につながるマルチピッチの登竜門としてこのルートを目指しているクライマーも多い。

瑞牆クライミングガイド上(FRONTIER SPIRITS)

そしてなによりもそのすっきりとした内容とクオリティーの高さ。それらは国内でも間違いなく最高レベルで、あらゆる意味で日本のマルチピッチ・フリールートの筆頭的な存在だ。

日本50名ルート(白山書房)

 全部で10P,高低差300mほどあり,1P目はフェイスながら5.11bありルート全体のグレードを押し上げています.2P目以降も5.8から5.10台前半ながらクラック主体でほとんどナチュラルプロテクションとなるので全体として充実することでしょう.また歩きのピッチが少なく,どのピッチもショートルートなら星がつくような質の良い内容で構成されています.

ベルジュエールをはじめ日本の名ルートを50選し解説している書籍です.アルパインクライミングだけではなくフリークライミングのルートも多く取り上げられていますのでお勧めの一冊です!!

ルート紹介

アプローチ

 ベルジュエールは十一面岩正面壁という岩壁にあり,みずがき山自然公園の駐車場から1時間程度で到着します.下記で紹介している「調和の幻想」がある十一面岩末端壁からさらいガレ沢をつめていくと15分ほどで到着します.人気のルートなだけあって道はしっかりしてるので迷うことはないと思います.

1P目 5.11b 30m

 ベルジュエールの1P目にして核心のピッチです.このピッチがルート全体のグレードを押し上げており,ここさえ抜ければあとは5.10台前半に収まります.

 ルートは完全にスポーツルートで比較的良心的な間隔でハンガーボルトが打ってあります.ルートは一段上がったコーナーから実質的に始まります.かかりのよいホールドをつないでいきハングを右に越えます.クラックに沿って少し上りカンテ越えてからは緊張感のあるスラブが続きます.絶妙なフットワークを使いながらレッジまで登りピッチを切ります.

 難易度的にはしっかりと5.11bあり朝一からしびれるクライミングが楽しめます.

1P目 一段上がったところから取付く
1P目ハング 右に越えていく

2~3P目 5.10a,5.7 30m+20m

 1P目の核心を越えてから一息つけるかと思いきや2P目の出だしも気が抜けません.ハングに突き当たるまで少し登ってからハング下を左にトラバースします.古いピトンなどプアなプロテクションを頼りにしたスラブのトラバースは緊張します.トラバースを終えたらそのままコーナーを登ります.2-3P目は自然にリンクでき,3P目までくるとホールドも豊富となるため一息付けます.このピッチはカムというよりは残置ピトンやリングボルトなどでプロテクションをとることができます.

2P目
調和の幻想からみたベルジュエール2P目

4P目 5.9 40m

 3P目は5.9という手ごろなグレードが40m続く気持ちのよいピッチです.前半はコーナークラックでプロテクションをとりながらスラブを登りバンドにでます.ここでピッチを切ることもできますがロープの流れも悪くないのでシロクマのコルまで登り切りましょう.左壁にあるこれまた快適なハンドクラックを登っていくとシロクマのコルにでます.

 シロクマのコルからは裏側に回って下山することもできます.

4P目
4P目 後半のハンドクラック

5P目 大フレーク 5.10a 20m

 5ピッチ目は大フレークと呼ばれるベルジュエールのハイライトです.豊富なスタンスを使ってレイバックを交えつつ豪快に登っていきましょう.キャメロットの5番があるとプロテクションも安心です.ちなみにワイド登りで登っていくと傾斜が強いのでなかなか大変です.

5P目大フレーク

6~7P目 5.8,歩き 30m+10m

 体がすっぽり入るサイズのチムニーです.技術的な難しさはありませんが,すっきりとしたチムニーで内部でナチュラルプロテクションをとることができず古いリングボルト1つのみでランナウトするので緊張するピッチかもしれません.チムニーを抜けたらバンドを右に歩いていき8ピッチの取付きまで向かいます.

6P目チムニー

8P目 5.10b 40m

 8P目はピナクル脇のチムニーから登り始めます.一段上がると左上するコーナークラックとフェイスにある直上するクラックが5mほどで上で合流し逆イの字型になっています.はじめはハンドジャムのよく効く直上部分を登ります.左上クラックと合流したあとはフットジャムはおさまりが悪く足はスメアリングで登ることになります.ハンドジャムはよく効くため思い切って登っていきましょう.

8P目

 このピッチは日当たりが良く,登るクラックもすっきりとしているため気持ちよく登ることができます.

9~10P目 Ⅲ級,5.8 50m+20m

9,10P目

 易しい岩稜を登るのが9P目で,ジャミングはよく聞くけれど強度が高いワンポイントの核心がある10P目を登りきると十一面岩正面壁の頂上に立つことができます.

 完登の余韻に浸ったとは10P目の取付きまで短い懸垂下降をして,あとはとりつきまで20分ほど歩いて下りることができます.

まとめ

 瑞牆でマルチピッチルートを1本だけ選べと言われたら間違いなくベルジュエールを選びます!1P目こそ5.11bというグレードがついていますが全体を通すと比較的登りやすく入門者にもおすすめのルートになります!

上下巻からなる瑞牆クライミングガイドですが,600本を越えるルートが網羅的に乗っているクライマー必携のトポです.上巻にはベルジュエールをはじめとする十一面岩のマルチピッチルートが非常にわかりやすく載っています.

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