山から山へすべての装備をもって駆けめぐる.縦走にはただ往復する登山とは違った魅力があります.今回はそんな魅力的な縦走路を日本アルプスを中心に初心者から上級者までレベル別に紹介していきます.具体的には
初心者
- 爺ヶ岳~鹿島槍縦走(往復)
- 常念山脈縦走
- 鳳凰三山縦走
- 大杉谷~日出ヶ岳
中級者
- 槍ヶ岳 表銀座縦走コース
- 中央アルプス縦走
(木曽駒ケ岳~空木岳) - 白根三山縦走
上級者
- 槍ヶ岳~穂高岳縦走
- 西穂高岳~奥穂高岳縦走
- 槍ヶ岳 北鎌尾根
などがあります.
縦走の魅力や特徴は?
縦走というは登山スタイルの一つで,一つの山に登頂した後にそのまま次の山を目指すことをいいます.一方で,頂上に登ったとに下山するスタイルとピークハントと言ったりします.
縦走とピークハントの違いはいくつかありますが,一番違うのはその大変さでしょう.縦走では,複数の山を登頂するため歩行距離が長くなり,行動時間も長くなります.高い高度での行動も増えます.また地上から離れて行動する行程が長くなるため緊急時の対応なども含めて綿密な計画を立てる必要があります.これらの点で一般的に縦走はピークハントよりも大変な登山とされます.
そのため登山者のステップアップとしては最初にピークハントを行って,次のステップとして縦走に挑戦する人が多いでしょう.
- 稜線歩きが長い
- 高い標高での行動時間が長い
→森林限界以上の稜線上では悪天候の影響を受けやすい
→行動中に緊急事態が起きると地上まで時間がかかる - 上り道と下り道が違うことがある
→下山口から登山口への交通手段が必要となる場合がある
→全装備を運ぶ必要がある - 行程がピークハントよりも長いことが多い
- 稜線上の絶景を楽しみながら歩くことができる
登山初心者がこの夏に行きたい縦走路10選
初心者
一般的にピークハントよりも体力・技術的に難しいとされる縦走ですが初心者でも行きやすい縦走路はあります.これらは技術的な面では岩稜帯あるきなどは少ないですが,行程は長くなり体力的にはハードなのでしっかり準備をしてから挑戦しましょう.体力的にハードでも宿泊日数を増やして時間をかけることでより行きやすくなるので一つの選択肢です.
爺ヶ岳~鹿島槍縦走(往復)
1泊2日(or 2泊3日)
縦走路: 扇沢登山口~爺ヶ岳~布引山~鹿島槍ヶ岳南峰(往復)
幕営 : 種池山荘・冷池山荘
扇沢から入山して爺ヶ岳,鹿島槍ヶ岳と縦走する行程です.鹿島槍の南峰から北峰までは急峻で三点支持がしっかりできないと危険なので初心者は南峰までの縦走にしましょう.種池山荘または冷池山荘で宿泊することができますが,テント泊1泊2日で行く場合には種池山荘で宿泊してアタック装備で鹿島槍まで往復する方がいいかもしれません.



常念山脈縦走
1泊2日
縦走路: 三俣登山口~常念岳~蝶ヶ岳~三俣登山口(あるいは逆周回)
幕営 : 常念小屋・蝶ヶ岳ヒュッテ
常念山脈は大天井岳から南に延びる山脈で常念岳,蝶ヶ岳が有名です.三俣から入山すると常念岳~蝶ヶ岳と周回して登山口に戻ってくることができるのでアプローチしやすい縦走路です.常念岳山頂付近は岩稜帯ですが,広い稜線であり安定してあるけると思います.天気がよければ槍穂を展望しながら縦走することができます.常念岳,蝶ヶ岳ヒュッテどちら泊りでも1泊2日で縦走可能です.

鳳凰三山縦走
1泊2日(or 2泊3日)
縦走路: 夜叉神峠~薬師ヶ岳~観音岳~地蔵岳(往復)
幕営 : 南御室小屋・鳳凰小屋
薬師ヶ岳・観音岳・地蔵岳の三山を合わせて鳳凰三山と言います.鳳凰三山縦走は南アルプスの入門コースです.1泊の場合は南御室小屋または鳳凰小屋,2泊の場合はその両方で宿泊できます.薬師ヶ岳小屋は小屋泊はできますがテント場はありませんので注意してください.縦走路は岩稜帯は少なく初心者でも安定して歩行できます.


大杉谷~日出ヶ岳
1泊2日
縦走路: 大杉谷~桃ノ木小屋~堂倉滝~粟谷避難小屋~日出ヶ岳~大台ヶ原ビジターセンター
幕営 : 桃ノ木小屋
大杉谷~日出ヶ岳は日本アルプスではありませんが魅力的な縦走路なので紹介します.大杉谷から日本百名山である日出ヶ岳まで16㎞の行程を縦走するコースです.縦走といっても堂倉滝までは渓谷を歩くので標高はあまりありません.桃ノ木小屋では温泉に入れることでも有名です.たまには美しい渓谷をゆっくり歩くものいいでしょう.



中級者
中級者向けの縦走路は初心者向けのものよりも行程が長くなります.技術的には三点支持がしっかりできれば安定して歩けるところが多いです.
槍ヶ岳 表銀座縦走コース
2泊3日(or 3泊4日)
縦走路: 中房温泉~燕岳~大天井岳~西岳~槍ヶ岳~上高地(新穂高温泉)
幕営 : 燕山荘・大天井ヒュッテ・大天荘・ヒュッテ西岳・槍ヶ岳山荘・殺生ヒュッテ・ヒュッテ大槍
日本で一番人気の縦走路といっても過言ではありません.燕岳から槍ヶ岳まで続く稜線を歩きます.天気がよければ燕岳からも槍ヶ岳が見えますがどんどん近づいてくる槍ヶ岳の展望は圧巻です.途中に複数の山小屋があるため自分の好きなようにプランニングできます.東鎌尾根ではヘルメット着用が推奨されていますので装着して三点支持でしっかり登りましょう.槍ヶ岳からは下山するもよし,上級者であれば穂高岳へさらに縦走するのも魅力的でしょう.

中央アルプス縦走(木曽駒ケ岳~空木岳)
2泊3日
縦走路: 上松登山口~木曽駒ケ岳~宝剣岳~檜尾岳~空木岳~池山尾根
幕営 : 金懸避難小屋・玉乃窪山荘・駒ケ岳頂上山荘・檜尾避難小屋・木曽殿山荘・駒峰ヒュッテ
中央アルプスの王道縦走路です.人気の北アルプスとは違い人の入りはそれほど多くはなく静かに縦走することができます.ですが中央アルプスからは北アルプスや御嶽山,南アルプスの展望が期待できます.上松尾根や池山尾根は非常に長く中級者の腕の見せ所です.


白根三山縦走
2泊3日
縦走路: 広河原~北岳肩の小屋~北岳~間ノ岳~西農鳥岳~農鳥岳~大門沢~奈良田
幕営 : 白根御池小屋・北岳肩の小屋・北岳山荘・農取小屋・大門沢小屋
日本第二位の標高を持つ北岳と第三位の標高を持つ間ノ岳を含む3000m級3峰の縦走です.南アルプスの王道縦走路です.3000m近い標高を縦走することができる縦走路は日本ではそう多くはありません.最高の展望をみながらの縦走を楽しんでください.稜線上に山小屋がいくつもあるので安心です.


上級者
上級者向けの縦走路では,技術的に高度なものが求められます.三点支持のみではなくクライミングの経験があるとより安定して歩けるでしょう.高低差のある岩稜帯歩きとなるのでしっかりと実力をつけてから挑むようにしましょう.
槍ヶ岳~穂高岳縦走
縦走路: 槍ヶ岳~中岳~南岳~北穂高岳~奥穂高岳
日本三大キレットの大キレットを含む槍ヶ岳から穂高岳の日本最高峰の稜線を縦走します.稜線上の岩稜帯はしっかりと三点支持をしながらあるきましょう.大キレットを以外の場所も気を抜くことができません.他の縦走路と合わせて槍穂縦走にチャレンジしてみてはいかがでしょう.

西穂高岳~奥穂高岳縦走
縦走路: 西穂山荘~西穂高岳~奥穂高岳
西穂高岳から奥穂高岳の稜線は一般登山道で最も難しいといわれる稜線です.ジャンダルムと言われるピークはしっかりと三点支持ができないと容易にバランスを崩して滑落します.また足場も不安定であり,しっかりと実力をつけてからのぞみましょう.ジャンダルムの頂上には天使が待っていますよ.

槍ヶ岳 北鎌尾根
縦走路: 水俣乗越~北鎌沢出合~北鎌のコル~独標~北鎌平~槍の穂先
北鎌尾根は一般縦走路ではありません.槍ヶ岳の北方に延びる尾根を縦走するバリエーションルートです.道中は整備もされていなく,また道しるべのマークもついていません.自分でルートファインディングを行う必要があります.場合によってはロープが必要になることもあります.一般道の縦走でしっかりと実力をつけた上で,ロープワークも学んだ後に挑みましょう.

まとめ
初心者から上級者までレベル別におすすめの縦走路を紹介してきました.自分に合った縦走路はありましたか?この夏は縦走を楽しんでみてはいかがですか.
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