バリエーションルートに行きたい!準備は何が必要なの?-技術・準備編-

技術・準備編 アルパインクライミング
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登山道を歩いていて

「あれ?あの人たちあんなところ歩いているけど道なんてあったかな?」

 と思ったことはありませんか?実はそれバリエーションルートなんです.
 バリエーションルートでは一般道とは違う装備,知識,技術が必要になってきます.ではバリエーションルートに行く際に必要な技術には何があるのでしょうか?それはずばり...

  • ロープワーク
  • クライミング技術
  • 体力
  • 地図読み/ルートファインディング
  • テント泊/ビバーク

になります.本項ではこれらの内容と準備の仕方について解説していきます.

バリエーションルートって?一般ルートと何が違うの?

 そもそもバリエーションルートって何なの?という人もいると思います.バリエーションルートとは「一般道ではない道」のことをいいます

 一般道というのは登山者が登りやすいように,草や木が刈られ,整地され,強い傾斜にははしごや鎖が設置されなどといったように整備されています.もちろん一般道でも十分に整備がされていない道もありますが,基本的には「人が歩いて登るための道」であるため一般的な技術や知識で安全に登ることができます.

 一方でバリエーションルートというのは,「人が歩いて登るための道」ではない道を進むため,草木が茂っていて道がわかりにくかったり,足場が崩れやすかったり,傾斜がある場面では登攀(クライミング)が必要になってきます.通常はバリエーションルートでは登攀の要素が含まれることが多くなります.そのためクライミングの技術であったり,ロープワークであったりなどが必要になってきます

 また一般道は「山と高原の地図」や地形図で登山道として道が記されていますが,バリエーションルートは記載されていないため自分で地図を読んで登るべきルートを考える必要があります(ルートファインディング).

バリエーションルートで必要な能力や技術は?

 バリエーションルートでは一般道では必要ない技術や一般道で必要なもの以上の技術が求められます.具体的には下記のようなものになります.

  • ロープワーク
  • クライミング技術
  • 体力
  • 地図読み/ルートファインディング
  • テント泊/ビバーク

 それぞれについて細かく説明していきます.

ロープワーク

 バリエーションルートではクライミングの要素がでてくるため安全確保を行います.また自力では傾斜が急で降りられない場合に懸垂下降を行ったりなどロープを使用する場面があります.そのため最低限のロープワークを習得しておく必要があります.

 バリエーションルートで最低限必要なロープワークについては本ブログの別項で紹介しています.

クライミング技術

 バリエーションルートでは通常の歩行や三点支持に加えて登攀の要素がでてきます.行きたいルートで求められるクライミング技術を習得しておく必要があります.

体力

 バリエーションルートは一般道と比較すると長かったり,登攀があったりなどの理由で一般道よりも高い体力が求められます.また整備されていない道をあるくというのも思っているよりも体力の消耗につながります.

地図読み/ルートファインディング

 一般道は整備されていたり,赤旗が立っていたり,岩にマークがついていたりするため初心者でも道に迷わず登山を楽しむことが可能です.しかし,バリエーションルートではそれらの道しるべはありません.周囲の地形や標高,それまでの行程などから自分のいる位置を割り出す必要があります.そのため地形図を読む力は必須になります.

 また同じ目的地に行くにしてもルートの選び方はいくつもあります.ルートの違いで難易度が上がったり,場合によって進行も後退もできなくなったりします.そのため適切なルートを見定めるルートファインディングの能力も求められます.

テント泊/ビバーク

 日帰りで行けるバリエーションルートもありますが,日本アルプスなどのルートは宿泊が前提となります.山小屋がなくテント泊が求められます.

 また一般道では参考となるコースタイムがあり,実際のコースタイムもある程度それに近いものとなるため行動の予定が立てやすいですが,バリエーションルートでは登攀の要素があったり,ルートファインディングによっては遠回りになったりなど予定通りの行程にならない場合も多々あります.行動が遅れ,日が暮れてしまったときにビバークが必要となることもあります

バリエーションルートに行く前に何をしたらいい?

 バリエーションルートで求められる能力や技術はわかりましたね.それではそれらの技術を習得するために何をしたらいいのでしょうか?
 バリエーションルートに行く前に準備しておく必要があることを解説していきます.

具体的には

  • 装備の確認
  • ロープワークの練習/システムの確認
  • クライミング練習
  • 体力トレーニング
  • 地図読み/ルートファインディング練習
  • 現地情報や山行記録(トポ)の確認

などがあります.それぞれ詳しく解説していきます.

装備の確認

 一般登山で必要な装備に加えてバリエーションルート特有の装備が必要になります.装備については別項で詳しく紹介しています.一般道に必要な装備と合わせて確認しておきましょう.

ロープワークの練習/システムの確認

 ロープワークやクライミングシステムを十分に理解しておく必要があります.また単に理解するだけではなく繰り返し練習することでスムーズにできるようになりましょう.バリエーションルートでは登攀の時間を短縮することは難しいですが,このような動作をスムーズにすることで全体としての時間を短縮することができます.

 ロープワークについてはギアがあれば自宅でも練習できます.クライミングシステムについてはクライミングウォールのあるジムや実際の岩場で練習をしましょう.可能であれば実際にパーティを組む人と練習できるとよりよいです.

クライミング練習

 実際にルートに行く前にクライミングもしておきましょう.易しいルートであれば一般の登山の延長でだれでも登ることができます.しかし,高所でのクライミングは緊張が伴うもので技術をあげて余裕を持たせておくに越したことはありません.可能であれば目標とするルートの1段階上のグレードを登れるようになっておきましょう

 クライミング練習はボルダリングジムでも可能ですし,仲間がいれば岩場にいって練習でもいいですね.

体力トレーニング

 登山における体力トレ―ニングでよく言われることは実際に山に行くことが一番のトレーニングであるということです.登山にいくと自然と体力がつきます.しかし距離や時間の問題から山になかなかいけない人もいるでしょう.そういう人はランニングや水泳,サイクリングなど日常的にできる運動で問題ありません.このようなトレーニングは自身にもつながるでしょう.

地図読み/ルートファインディングの練習

 地図読みやルートファインディングについてはなかなか平地で練習するのが難しいのが現状です.山に行くときに地形図や周囲を見て自分のいる場所が常にわかるように練習しておきましょう.

現地情報や山行記録(トポ)の確認

 もうひとつ重要なのが現地の情報や山行記録を確認しておくことです.ルートで求められる技術は何なのか?核心はどこなのか?崩落はなにのか?など事前に確認しておくことで目標とするルートに必要な練習や準備を行うことができます.ルート図や先人たちの記録を参考にして自分の中でルートをイメージしておきましょう.

まとめ

 バリエーションルートで求められる能力や技術,それらの準備の方法について紹介してきました.しっかりと準備をして安全で楽しい山行にしましょう!!

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