登山道を歩いていて
「あれ?あの人たちあんなところ歩いているけど道なんてあったかな?」
と思ったことはありませんか?実はそれバリエーションルートなんです.
バリエーションルートでは一般道とは違う装備,知識,技術が必要になってきます.
ということで今回はバリエーションルート説明と必要な装備を紹介していきたいと思います.
バリエーションルートって?一般ルートと何が違うの?
そもそもバリエーションルートって何なの?という人もいると思います.バリエーションルートとは「一般道ではない道」のことをいいます.
一般道というのは登山者が登りやすいように,草や木が刈られ,整地され,強い傾斜にははしごや鎖が設置されなどといったように整備されています.もちろん一般道でも十分に整備がされていない道もありますが,基本的には「人が歩いて登るための道」であるため一般的な技術や知識で安全に登ることができます.
一方でバリエーションルートというのは,「人が歩いて登るための道」ではない道を進むため,草木が茂っていて道がわかりにくかったり,足場が崩れやすかったり,傾斜がある場面では登攀(クライミング)が必要になってきます.通常はバリエーションルートでは登攀の要素が含まれることが多くなります.そのためクライミングの技術であったり,ロープワークであったりなどが必要になってきます.
また一般道は「山と高原の地図」や地形図で登山道として道が記されていますが,バリエーションルートは記載されていないため自分で地図を読んで登るべきルートを考える必要があります(ルートファインディング).
経験がなくてもバリエーションルートには行けるの?
バリエーションルートは一般道とは違う魅力があります.そのためバリエーションルートを目指す人も少なくないと思います.ですが前述のとおりバリエーションルートには専門的な知識や技術も必要になってきます.
ではバリエーションルートには経験がないとバリエーションルートにはいけないのか?たしかに自力で行くには十分なロープ技術やクライミング技術の習得が不可欠です.しかし,今日では山岳ガイドがバリエーションルートのガイドも行っており,体力と岩稜帯登りの経験があれば簡単なバリエーションルートに行くことは不可能ではありません.
バリエーションルートで必要な装備は?
ではいざバリエーションルートに行くときに必要な装備は何なのでしょうか?自力で行くにしてもガイドツアーで行くにしても最低限必要な装備と選び方を説明していきます.
一般道で必要な装備は下記を参考にしてください.
ハーネス
ハーネスはクライミングロープと体,あるいは支点と体などをつなぐための安全ベルトです.しっかりと装着することで墜落や滑落を防ぐことができます.クライミングシステムにおいて基本となる装備です.
クライミングシューズ
岩壁を登攀するときに登山靴では細かいホールドに乗れなかったり,バランスがとりづらかったりします.クライミングシューズはクライミング専用に開発されたシューズです.足に最大限フィットし,ソールも硬くなっています.登攀を要するバリエーションルートでは準備しましょう.
ロープ(ザイル)
登攀は転落するリスクを伴う危険なスポーツです.そのため登る人(クライマー)と確保者(ビレイヤー)をロープでつなぐ(確保する)ことで転落時のリスクを軽減しながら登っていきます.用途よってシングルロープ,ダブルロープ(ハーフロープ),ツインロープの3種類に分かれます.
確保器
ロープをセットすることでリードの確保,フォローの確保,懸垂下降の3つに使用することができます.確保器の形状によって使用できる機能に違いがあるので自分の用途に合った確保器を選びましょう.一般的には1つですべての機能を補える「ATCガイド」が使用されることが多いです.
カラビナ・安全環付カラビナ
カラビナは金属性の輪になったものでゲートついていてロープやスリングを中にセットして使用します.ゲートは軽い力で開いてしまうためゲートが開かないようにロックがついたものを安全環付カラビナといいます.
スリング
スリングは日本語で「紐」のことです.ナイロンやダイニーマといった化学繊維でできておりカラビナとセットでヌンチャクを作って使ったり,岩や木などに結び付けて支点を作ったりします.60㎝,120㎝,180㎝などいくつかの長さがあるのでルートに必要な長さ本数を事前に決めて用意する必要があります.
ヘルメット
最近は一般道でも北アルプスの一部の山域ではヘルメットの装着が推奨されています.バリエーションルートでは一般道よりも転落や落石による頭部打撲のリスクが高くなるので絶対にヘルメットを装着しましょう.
プロテクション(カムデバイス,ナッツ,ハーケン,,,)
バリエーションルートの登攀でリードをするようになったらプロテクションによる支点を作れるようになる必要があります.人気ルートではボルトや残置ハーケンがあってそこにヌンチャクをつければ中間支点として使用できますが,人の入りの少ないルートでは人工的な支点はありません.そのためプロテクションデバイスなどによって自分で中間支点を作る必要があります.
まとめ
バリエーションルートに行くために必要な装備について紹介していきました.他の項ではクライミングシステムや技術についても紹介していきます.しっかりと準備をして憧れのバリエーションルートに挑みましょう!!
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