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登山に本当に必要な道具ってなに?
近年空前の登山ブームが来ています.国民の祝日である「山の日」が新しく制定されたり,「山メシ」や「山ガール」など山がつく言葉もよく聞くようになったりしましたね.
少し古いデータにはなりますが総務省の統計によると過去1年間に登山に行ったことのあるひとはおよそ1000万人で人口の9%になります.なんと10人に1人は登山に行っているということですね!
そんな中,「登山を新しくはじめよう!!」という人も多いと思います.でもいざ登山をはじめようと思ったものの,登山用品は高価で種類も多くて,さらに何が必要かもわからない.そんな風に思っている登山初心者の方も多いと思います.本項では,そのような疑問に答えるべく登山をはじめる人がまず最初にそろえるべき登山の装備について解説していきます.
またどのような装備が必要かについては多くの書籍やウェブサイトでも紹介していきます.本来ならばすべて揃えてから山に行くことが望ましいです.しかし,残念ながら登山用品は非常に高くすべて揃えるにはまとまったお金がかかってしまうのも事実です.本項では「一番最初にそろえるべきものは何か?」「代用が効くものはあるのか?」などにつてもまとめていきます.
登山に必要な装備って?
一言に登山といってもその目的や行程,スタイルによって必要な装備は変わってきます.例えば低山に日帰りハイキングであればある程度軽装でも許容されますが,日本アルプス縦走となると本格的な装備が必要になります.登攀の要素が加わるのであれば登攀用具も必要になってきます.ここでは初めて行ける山を前提に装備を確認していきます.
trekking_guidehttp://webshop.montbell.jp/common/system/information/disp.php?c=2&id=376 より
絶対必要!これだけはそろえよう
登山には絶対必要なものを紹介しています.これから登山をはじめる人は少なくともここにあるものは登山用のものを購入しましょう!
ザック(リュックサック)
予算 15000~40000円
ザックは登山の必需品です.というかこれがなければ登山が始まりません.荷物をすべて入れる道具ですが,山道では危険な場所では三点支持が必要になったり,急にバランスを崩して転んだり手を使う場面が出てきます.そんなときに手を開けておく必要があるため荷物を入れるのはザックである必要があります.
ザックは主に行く日数によって容量が変わってきます.日帰りであれば~30L程度,山小屋泊であれば30~45L程度,テント泊であれば50L~,雪山テント泊であれば70L~が必要になります.本格的に登山をやる人は複数のザックを持っていることが多いので,将来的に雪山でテント泊をしたい!と思っている人でも最初の1つ目は30~45L程度のザックを購入することをお勧めします.金額でいうと15000~25000円程度でしょうか.
選ぶときには価格はオンラインショップで購入すると安価なことが多いですが,ぜひ一度は登山用品店に行って背負ってみましょう.ザックにもサイズが合って,自分に合ったものを確認しておく必要があります.機能的には収納が沢山あるものもありますが,そこらへんは必須ではなく好みになります.
登山靴(トレッキングシューズ,アルパインブーツ)
予算 15000~40000円
登山靴もなくてはならない装備です.低山でも1日3-4時間,日本アルプス縦走などでは1日10時間を超す行程を歩くことになります.しかも傾斜や段差,岩場を歩くことになります.登山靴はこのような状況下の長時間の歩行でも足にかかる負担が少なくなるように設計されています.また多くの登山靴は防水加工されており山行中に雨が降っても足の濡れを防ぐことができます.
登山靴には,使用状況に応じて,ハイキングシューズ,トレッキングシューズ,アルパインシューズにの3種類に分けられます.
ハイキングシューズ
主に低山のハイキングを目的とするソールの柔らかい靴です.ソールが柔らかいため足の疲れや痛みは少ないですが,岩稜帯では逆に疲れやすくなります.ある程度の標高を目指す場合にはこのタイプではやや難しいです.
トレッキングシューズ
低山のハイキングからある程度の日本アルプスの岩稜帯までカバーしているオールマイティな靴です.トレッキングシューズであれば大体防水加工がしてあります.ソールは硬めになっておりいわば歩きでも足への負担が少ないです.日本の一般ルートであればトレッキングシューズがあれば十分に対応できます.最初に一足に合っています.
アルパインシューズ
トレッキングシューズよりもソールが硬い主に岩稜帯歩きのための靴です.ソールが硬くなっているためアイゼンの装着も可能となっています.ある程度経験を積んだ次のステップの登山に適しています.
ハイキングシューズ | トレッキングシューズ | アルパインシューズ | |
目的とする山行 | 低山ハイキング | 低山ハイキング ~日本アルプス | 日本アルプス, バリエーションルート, 冬期ルート |
ソールの硬さ | やわらかい | 固め | 硬い |
足首の保護 | ローカット ~ミドルカット | ミドルカット ~ハイカット | ハイカット |
価格 | 10000~15000円 | 15000~40000円 | 40000~円 |
レインウェア
予算 20000円
「山の天気は変わりやすい」
この言葉はだれでも一度は聞いたことがあるでしょう.実際に「登りはじめは晴れていたのに...」「天気予報は晴れ予報だったのに...」雨が降ってくるということは登山をしているとしばしば経験します.山の天気はある程度までは参考になりますが完全な予測は困難です.
山で雨に降られると体が濡れます.体が濡れると体が冷えるため低体温症になるリスクがあります.低体温症は,山での三大死因の一つであり命にかかわることもあります.そのため体が濡れるのを防ぐことは非常に重要なことです.
一般的にレインウェアに求められる機能としてはコンパクトに収納できること,防水透湿性であることなどがあります.防水透湿性の素材としてはGORE-TEX(ゴアテックス)が代表になります.登山用品店で売られているレインウェアのほとんどがこのGORE-TEX素材になっています.
ヘッドライト
予算 5000円
「日帰りだけどヘッドライトっているの?」と思う方もいるかもしれません.しかしヘッドライトはどんな登山でも必需品となっています.登山計画というのはなるべく予定通りに行くように立てますがそれでも予定より時間が押してしまうなんてことはざらにあります.そんなときにヘッドライトがないともう行動ができません.スマートフォンのライトで夜の山道を歩いている人も見かけますが危険極まりないです.山道において片手がふさがれるということは非常に危険なことなのです.
ヘッドライトはクオリティの割に買いやすい価格だと筆者は思っています.5000円もあればプロの登山家が使うような上等なものを購入できます.「ルーメン」という明るさの基準がありますが,200ルーメン程度のもであれば雪山などの厳しい山行に行くようになっても使うことができます.
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ペツルのヘッドライトを選んでおけば間違いがありません.値段も手ごろでお勧めの品です.
代用がきくけどぜひそろえたい
次はできたら登山用のものが望ましいですが,もともと家にあるものでも代用できるものを紹介していきます.余裕があれば購入したほうが雰囲気も出ますし快適な登山が楽しめます!
衣類
登山用品店にいくと店舗の1/3~半分程度を衣類が占めています.ですが実は身の回りにある衣類でも登山は可能です.登山の基本はレイヤリングシステムと言われていますが,実は身の回りに代わりとなる装備はたくさんあります.
ベースレイヤー
ベースレイヤーは汗を吸い取り蒸散させる,またはミドルレイヤーに移動させて汗冷えを防ぐ役割があり化学繊維やウールなどが好ましいといわれています.しかし実際は夏山の場合は化学繊維一択となるでしょう.また夏山ではおもにこのベースレイヤーで動くことが多いと思います.
もちろん登山用の化学繊維は速乾性が優れていますが,いわゆるスポーツウェアのような化学繊維の服でも十分代わりになります.またユニクロのエアリズムやドライexなどの素材も代わりになります.
ミドルレイヤー
ミドルレイヤーは保温しつつ,ベースレイヤーから移動してきた汗を蒸発させる役割があります.こちらも化学繊維やウールなどが代表になります.夏山では登山シャツなどを着ている人も見かけます.またソフトシェルと言われるウインドブレーカーのようなものを着ている人もいます.ミドルレイヤーはいろいろ選択肢があり,いくつか山行を重ねて自分に必要なものを選ぶ方がいいでしょう.身の回りにあるものとしてはジャージが一番いいでしょうか.秋など涼しい時期はフリースも選択肢になります.
アウターレイヤー
アウターレイヤーは風雨から身を守るために着用します.また汗を外に出す必要もあります.求められるのは防風・防水透湿性となっています.これはレインウェアが適しているでしょう.レインウェアとは別にウインドブレーカーをアウターレイヤーといている人も見かけます.
防寒着
防寒着を着用するときは行動していないときや,稜線上で気温が低くいときなどですが基本は行動着とは別に考えた方がいいでしょう.夏であれば薄手のダウンやフリース,セーターなど,冬であれば厚手のダウンとなるでしょう.ダウンが軽量・収納の点で優れていますが,登山用品店でダウンを購入しようとするととても効果になっています.そのため最初は登山専用でなくてもいいと思います.ユニクロのウルトラライトダウンや持っているフリースやセーターなどで十分に代用できるでしょう.
コンパス&地図
コンパスや地図は必須の項目ですが,近年はYAMAPやヤマレコなどスマートフォンの地図やGPS機能などが優れているためそれらで代用できることもあります.しかし,泊りの山行やバリエーションルートなどは地図の方が便利なこともあるので準備しましょう.
グローブ
夏山の登山でグローブを使用するのは主に防寒対策になります.岩や木などを触れる時に着用することはありますが,一般的に三点支持をする場合には手袋よりも素手の方が安定するためクライミングなどをやる場合には手袋は着用しません.そのため最低限防寒ができればよいと思います.まずは軍手などで代用してかまいません.
これがあれば快適!余裕があればそろえよう
次に紹介するものはなくても登山はできますがそろえた方が登山をより楽しめます!そして雰囲気もでてきます!
トレッキングポール
予算 10000~20000円
トレッキングポールは体のバランスをとるための杖です.使用することでふらつきを減らしたり,足にかかる負荷を軽減したりすることができます.あることで負荷を減らして登山をすることが可能ですがなくても十分に登山可能です.まずは実際に行ってみて必要かどうか判断してみてはどうでしょう.
水筒 ハイドレーションシステム
長い山行になると山小屋などで水を補給しながら進んでいきます.また夏場はこまめに水分をとる必要がありハイドレーションシステムがあれば歩きながら水分摂取をすることが可能です.本格的な登山を行うのであれば必要ですが,まずはペットボトルでも十分です.その場合にはこまめに休憩を入れて水分摂取をしていきましょう.長い山行に行くようになれば購入を検討しましょう.
高度計付き時計
高度計があると地図やコンパスと合わせて自分の現在地の把握やペースなどの把握が可能になります.最近は時計についている場合が多く高度計付きの時計をもつことで山行がより魅力的なものになるでしょう.
もしかしたらいらないかもしれない..余裕があるときだけそろえよう
実はいらないかもしれない..これを購入するのであれば別のもにお金をさこう!そう筆者が考えるものを紹介していきます.
着替え
登山に行く際に汗をかくからという理由で着替えを持っていきがちですが基本的には必要ありません.山では少しでも荷物を軽くするために衣類は着て体温で乾かすことが一般的です.汗の量が人よりも多いという人は上半身のアンダーウェアのみ持っていくのは選択肢でしょう.
ザックカバー
ザックカバーはザック用の雨具です.雨が降ったときに中のものが濡れないようにザックにかけるように作られた防水の製品です.しかし,基本的にザックはある程度は防水となっているため必要ありません.濡れることがないとは言いませんが,ザックの中で防水対策をしておいた方が有効でしょう.
おわりに
以上,登山の初心者向けに必要な装備,実は必要ではない装備,身の回りにあるもので代用できる装備を紹介してきました.一度に全部そろえるよりも山行を繰り返しながら無駄なく自分に合った装備をそろえていきましょう!
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