クラッククライミングをやる人であればカナダの”スコーミッシュ”というエリアの名前を聞いたことがあるかもしれません.
でもあなたはスコーミッシュのことをどのくらい知っていますか?名前は聞いたことがあっても実際にどんな岩場かご存じない方がほとんどかもしれません.
この記事ではスコーミッシュの岩場についてザックリとした全体像の説明と筆者が行ったことのあるエリアの紹介をしていきます.
- 夏にも快適にクライミングがしたい
- お盆休みにどこか行きたい
- 花崗岩が好き
- クラックが好き
- スラブが好き
ちなみにスコ―ミッシュに行くための準備や現地での生活については以下の記事でまとめていますので合わせて読んでみてください!
目次
スコ―ミッシュの楽しみ方
スコーミッシュにはいろんな楽しみ方があります.まずはじめにスコーミッシュの楽しみ方をいくつか紹介します.
スコーミッシュってこんなところ!!
スコーミッシュについて詳しく触れる前にザックリとしたイメージを紹介します.重要なポイントは以下の通りです.
- 花崗岩の岩場.でも岩質は日本と若干違う.ヨセミテともまた違う.
- トラッドクライミングがメイン,でもスポートも充実楽しい.スラブが多め.
- ショートルート,マルチ,ビッグウォールなんでもあり.
- シーズンは夏,おすすめは7月後半から8月.それ以降は雨多め.
- 夏場は日が長い.7月だと22時まで登れる!8月でも21時近くまで明るい.
- バンクーバーまで飛行機で10時間,そこから車で1時間.
- 街と岩が近い.岩場まで10分程度のアプローチ!
- 動物もたくさんいる!
楽しみ方① ショートルート
スコーミッシュにはスポート,トラッド問わずたくさんのショートルートが存在します.簡単なものから超高難度のものまであり,きっと自身の目標となるルートが見つかるはずです.
- Crime of the Century
- Cobra Crack
- Dream Catcher …etc
楽しみ方② マルチピッチ
マルチピッチでは日本では味わえないような絶景をバックに気持ちのいいクライミングを楽しめます.数ピッチの短いものから,いわゆるビッグウォールと呼ばれる範疇に入るロングルートまでたくさんの選択肢があります.
- The Grad Wall
- University Wall
- Freeway …etc
楽しみ方③ ボルダリング
スコーミッシュではボルダリングも人気です.というよりはフリークライミングよりもボルダリング人口の方が多いかもしれません.ギアショップでマットのレンタルもできるため身軽に訪れ気軽に登ることも可能です.
- Superfly
- Portable Mantle …etc
楽しみ方④ クライミング以外のアクティビティもたくさん
クライミング以外にもマウンテンバイクやマリンスポーツ,トレッキングなど様々なアクティビティを楽しむことができます.
スコ―ミッシュのクライミングエリア
スコ―ミッシュとして一括りにされるエリアはトポによると全部で11か所あります.キャンプ場から歩いて行ける近さのものから,遠いものでは車で市街から30分ほどかかるエリアもあります.


以下が各エリアの概要になります.いわゆるスコ―ミッシュの町から近いところにあるエリアを太字で記載し,その中でも訪問中に一度は訪れたい定番エリアに下線を引いています.筆者が訪れてないエリアに関してはトポを参考にして記載しています.
- Murrin Park …シングルのフェイスやクラックが豊富.名課題も多く定番エリア.
- Shannon Falls Area …滝の近くのエリア.シングル,マルチ両方とも良質.
- The Malamute …海岸近くのエリア.シングル,マルチ両方とも良質.
- The Chief …スコ―ミッシュの盟主.ビッグウォールはじめなんでもある.マスト.
- Slhanay …チーフの端の方にある壁.ショートマルチが豊富.
- Smoke Bluffs …町中にあるエリア.必ず訪れたいど定番エリア.
- Crumpit Woods …シングルのスポートが主体.
- Squamish Outliers …町中に点在するが他のエリアに含まれないエリアの総称.
- Paradise Valley …町から離れたところにあるシングルのスポート中心のエリア.
- Brohm Lake Area …町から離れたところにあるシングルのスポート中心のエリア.
- Cheakmus Canyon …町から離れたところにあるシングルのスポート中心のエリア.
筆者が行った岩場紹介
ここからは筆者が訪れたことのある岩場を紹介していきます.これまでに2025年8月に6日間のクライミングを実施しています.多くない日数なので人気の高い定番どころのエリア・ルートから行きました.
☆:「SQUAMISH SELECT」の100select掲載
★:筆者のおすすめ度(無印~最大3つまで)
グレード:同トポ上のグレード
Bolt:ボルトルート,NP:ナチュラルプロテクションルート
【Smoke Bluff】
Smoke Bluffは町中にあるエリアで幹線道路であるHighway99からも岩場が見えます.岩の上に民家が建っていたり公園があったりと生活の中にクライミングが混ざっておりスコ―ミッシュの象徴的な岩場です.Crime of the Centureをはじめとした質の高いルートも豊富にあり,アプローチも近いため全体に外せないエリアです.
Krack Rock
駐車場からアプローチのとても近い岩場です.見た目の通り何かのデザインかのようにクラックがきれいに並んでいます.岩自体は80度くらいで傾斜も強くなく易しいルートが集まっています.

Mooshie Corner 5.10d★ NP
左の方にあるコーナーハングを越えるルート.簡単なアプローチを経て,核心のハング越えはジャミングというよりはフェイスとステミングでじりじり登る感じです.ハングを越えた後は右か左のクラックに入るけれど,左の方がだいぶ難しいけど面白いと思います.
On Sight Inc. 5.7,var 5.10a★ NP
上記ルートの1つ右にある綺麗な斜上クラック.中間部から直上のフィンガーに入るバリエーションが5.10aです.5.10aなのにしっかりフィンガージャムがでてきて日本との違いを感じました.ただ傾斜も強くなくフィンガーも気持ちよく決まるのでこのグレードに感じます.
Koko Krack 5.10a NP
筆者がスコ―ミッシュで最初に触ったルート.5.10aだが明確な核心という所もなく最初から最後まで気持ちよく登れます.グレードは甘め.
Zombie Roof
著名なハングがあるエリア.トレイルからもしっかりと見え10秒ほどでアプローチできます.
Zombie Roof 5.13a☆★★ NP
スコ―ミッシュで一番気になっていたルート.甘いのでは?という噂もあるけれどしっかりと5.13aあるように感じました.ルーフ自体はそれほど長くなく数ムーブだけれどそれなりにフィジカルが必要な印象を受けました.

Penny Lane
絶対一度は訪れたい定番エリア.Squamish100 selectが何本も集まっています.
Clandestine Affair 5.9,direct 5.10d★ NP+B
エリアの左側には共通のスタートを持ち途中で分岐するルートが数本あります.その中の一番左にあり,一番易しく,とてもきれいな「7」字のクラックです.5.9というグレードですが最後のトラバースは頭を使うムーブでした.
共通のスタートを使わずに,ハング越えからスタートすると5.10dになります.ラインとしてはかなり自然になるうえ下部のスラブはなかなか登りごたえがあるのでとてもおすすめです.

The Yorkshire Gripper 5.11b☆★★★ NP
Clandestine Affairの右にある綺麗なフィンガークラックがThe Yorkshire Gripperで100selectにも選ばれています.下から見るととても人が登れるようには見せませんがいざクラックの前に立つとしっかりと広がっており気持ちのいいフィンガージャムからスタートします.

途中クラックが細くなる部分が核心で,フェイスムーブも交えながら突破します.最後にはもう1つアクセントがありスコ―ミッシュにしては短めですが内容は濃くとても充実します.
Popeye and the Raven 5.10c☆★★ NP+B
同じく共通のスタートから始まり,そのまま真上の凹角を登るラインがPopeye and the Ravenでこれもまた100 selectに選ばれています.遠目には何もないスラブに見えますが,適度にホールドがちりばめられており楽しく登れます.上部はボルトが打たれていますが,ところどころにカムがあるとランナウトを避けられます.
Quarryman 5.8, direct 5.10b☆★ NP
Popeye~の右にあるのがQurrymanでこれまた100 selectに選ばれています.大きなフレークをダイナミックな登りでぐいぐい高度を上げていくことができます.上部を直上のフィンガークラックを登ると5.10bのバリエーションです.
Superfluous 5.10c★ NP+B
Qurryman右のフェイスにもルートが拓かれています.ボルトとナチュラルプロテクションのmixルートでスコ―ミッシュの特徴の1つであるミニマムボルトが貫かれています.上部は左右に分かれ左に行くと5.10cの当ルート,右に行くと5.10aのルートになります.

Jangling Ball Wall 5.11a★ NP+B
Jangling Ball Wallは出だしはクラックシステムを利用したフェイスで,後半はボルトに守られた緊張するスラブです.トポにも”very tricky sequence”と書いてあるようにムーブの組み立てに頭を使います.Smoke Bluffは日当たりがよく日が当たりだすととても登れないので早朝が勝負です!

Witch Doctor’s Apprentice 5.9★★ NP
2つの小ハングを有しているコーナークラックで,これが本当に5.9?と思いながら登ることになるでしょう.ですが登っていくとムーブは明確で確かに5.9の範疇におさまっていると感心させられます.長さもあって気持ちよく登れるよいルートです.

Power Windows 5.11a NP+B
フェイス(スラブ?)にあるとてもきれいなクラックですが残念ながら途中でクラックは途切れています.ですが右の方を見るとボルトが打たれておりそちらにルートがつながっていることがわかります.クラックは易しいですが,スラブのトラバースはホールドが細かくとてもバランシーです.最後はカンテに抜けるとても興味深いライン取りになっています.
Crime of the Century 5.11c☆★★★ NP
このルートに関しては多くは語りません.これぞフィンガークラックというべき名ルートです.スコ―ミッシュで必ず触るべき1本です.

Kahoukers 5.12b NP
Crime of~の途中からトラバースして隣のクラックは登るラインです.トラバースから,移った先のシンクラックまでずっと難しいルートです.
Penny Lane 5.9☆★★ NP 終了点なし
エリアの名前にもなっている看板ルート.ボルダリーな出だしから,ちょっと気持ち悪いコーナー,快適ハンドを登り最後は2本の足で立ち上がる.素晴らしいの一言につきます.
終了点はなくリード&フォローで登った後に上のテラスを歩いて左の方の支点から懸垂下降する必要があります.

Climb and Punishment 5.10d★ NP
きれいなクラックが多いこのエリアですがこのルートはフレーク状のクラックを登ります.レイバックでのプロテクションセットはちょっと難しく,核心部はランナウトしてテラスに乗越ます.最後は右上のきれいなクラックを登ります.

Partners in Crime 5.11a★★ NP
おそらくこのエリアで一番長いクラックルート.おそらく核心は出だしのレイバックゾーンですが,そのあともギアの残りを気にしながら,時にランナウトしながらどこまでもどこまでも続くクラックを登ります.

【Murrin】
Murrin Parkはスコ―ミッシュ市街から車で10分ほど南に行ったところにある湖の周辺に広がるエリアです.スポート,クラックを問わずショートルートが充実していて,後述するスコ―ミッシュで最初に登られた5.11や5.12もこのエリアにあります.
Nightmare Rook
駐車場から車道脇の歩道を5分ほど歩き到着する人気エリア.朝一と午後が日陰になるので他のエリアと組み合わせて登るのもありかもしれません.エリアの名物である巨大なハングに守られたルートは雨でも登ることができます.
Hypertension 5.11a★★ NP
スコ―ミッシュには細めのクラックが多くワイドクラックはそこまでメジャーではありませんが,そんな中で人気なのがこのHypertensionです.このルートを登るためにカナダまでワイドギアを持っていきました.
スタートこそ少し嫌ですがその後は途中までは快適なハンド~フィストジャムが続きます.苦しいのはなんと最後のたった4mです.ここにこのルートのすべてが凝縮されています.うす被りのスプリッターワイドで,日本のワイドでこのグレードだとだいたいルーフとかになってくるのでぜひともここでワイドの5.11を体験しておきましょう!

The Red King 5.10d NP+B
ハングを越え易しいランぺを登った後にフェイス,コーナーへと登っていきます.難しくはないですがあまり登られていないみたいでとてもワイルドです.ルートファインディング核心のルートです.
Who’s Your Daddy? 5.10d NP+B
Nightmare Rook名物の父親シリーズの一角です.父親ルーフ(私命名)の左端のクラックをフェイス的に登ります.核心の巨大アンダーフレークを越えるところはボルトに守られていますが,かなり独特なムーブでこのグレードでも難しく感じました.

Spitting Duck 5.10a BP+B
父親ルーフの下にちょこんとあるフレークの左側を登ります.小さく見えますがそれでも15mほどの大きさはあります.ボルト1本と上部の水平クラックにカムをきめるだけのプロテクションで,スコ―ミッシュの5.10台の中で一番緊張しました.

The Big Barn Door★ NP+B
上記と同じフレークの右端を登ります.カンテ?を使ってレイバックでバランシーな核心部分です.アップのつもりでやったらけっこう難しくアップアップでした.
Great Granddaddy 5.11a★★ NP+B
これもまた父親シリーズの一角です.チョークあとのついたボルダリーなフェイスを登り,一見難しそうなアンダーフレークを左にトラバースします.最後はカンテをまたいでは易しいクラックにつなげます.なかなかおもしろいです.

Sentry Box 5.12a☆★★★ NP
スコ―ミッシュで5.12のクラックを登るにあたって最優先にしてもらいたいのがこの課題.スコ―ミッシュでで最初に登られた5.12でなんと今から50年前に登られています.
5.10aの易しいクラックを登りハングを越えます.そこからは高度感のあるフィンガークラックをレッジまで登っていきます.核心部分はいわゆるフィンガーチップでマイクロカムやナッツを使いこなせるかが完登のカギになります.

Perspective 5.11a☆★★★ NP
こちらはスコ―ミッシュで一番最初に登られた5.11のルートです.
前傾したコーナークラックからストレニュアスなハンドクラック,レストポイントを挟んで,小ハング越え,終了点についた時には30mもロープを伸ばしています.内容,充実度ともにスコ―ミッシュの看板ルートです.

Sentry boxと隣り合った位置にありこんな素晴らしいルートが並んでいることに感動します.
Claim Jumper 5.12a★★ NP+B
Sentry Boxと並んでこのエリアの5.12看板ルートです.ボルトの打たれたフェイスを登り,クラックに移ります.クラックの出だしが核心ですが,プロテクションが悪く,ハーケンが1本打たれています.緊張する部分を越えたあとは,きれいなシンクラックに入ります.ここは一見とても難しく見えますが実はホールドスタンスともに豊富であとはウイニングロードです.

【Chief】
Chiefは町のどこからでも眺めることができる言わずと知れたスコ―ミッシュの盟主です.その高さは700mほどで,ヨセミテのEl Capitanに次ぐ世界第二位の大きさをもつ花崗岩の一枚岩と言われています.その大きさを満喫するロングマルチはもちろんのこと,麓や裏側にはボルダーやシングルピッチの課題も充実しておりとても1度の遠征では遊びきれません.
The Grand Wall
Chiefにはいくつもの巨大な壁がありますが,その花形ともいえるのがThe Grand Wallです.以下で紹介するThe Grand WallやUniversity Wall,Freewayなどスコ―ミッシュを代表するロングマルチがここにあります.
Apron Strings 5.10b☆★★★ 2P
Apron StringsはThe Grand Wallの下部にありアプローチ的な立ち位置でもある2Pのルートですがそれ自体がSquamish 100 selectに選ばれています.
美しいコーナークラックのレイバックが続く1P目はとてもストレニュアスです.

2P目は1P目に続きコーナーを少し登ると目の前にジグザグのクラックが広がり快適なクライミングが続きます.

The Grand Wall 5.11a A0☆★★★ 8P
The Grand Wallはスコ―ミッシュの中でも花形の1本です.この手のロングマルチにしては最大グレード5.11aと手ごろであり入門的な立ち位置にあります.
30mにボルト3本しかないスラブや緊張するトラバース,Spilit pillarと呼ばれるすっぱりと割れたクラック,露出感のあるカンテやタフなアンダーレイバックで登るワイドフレークなどなど個性的なルートが8ピッチに渡り続きます.途中2か所A0のボルトラダーがありますが,他の部分が素晴らしすぎて全然気になりません!

Exasperator 5.10c☆★★★ 2P
スコ―ミッシュのベストルートをあげたときに必ず候補に挙がるのがこのExasperatorです.当然のごとく100 selectに選ばれていますがその中でも群を抜いて素晴らしいです.
2ピッチで構成されるルートですが,自然にリンクでき46mもつづくフィンガークラックを登っていきます.80mロープであればギリギリロワーダウンできますが,それ以下の場合は途中でピッチを切って懸垂下降する必要があります.

Knacker Cracker 5.11b★★
Exasperatorの右側には2つのアーチ状のコーナークラックがあります.そのどちらも素晴らしいルートですが,その間に1つのシンクラックがあります.それがKnacker Crackerです.
でだしはボルトが打ってありますが,その後はマイクロナッツをプロテクションに緊張するクライミングが続きます.シンクラックを抜けるとそこからは素晴らしいフィンガークラックが続き最後はカンテを上がって終了です.なかなか面白いです.

The Grand Wall-ボルダー
Chiefの麓にはルートだけではなくボルダーもたくさんあります.The Grand Wallへのアプローチ途中にもあるので行きや帰りに触ってみるのもありかもしれません.
Portable Mantle V4★★★
Portable Mantleはおそらく世界でいちばんちいさボルダーです.その高さ30cほど,その名の通り持ち運ぶこともできます.こんな小さな石ころなのになかなか手強いです.

Superfly V4☆★★★
Portable Mantleの近くにあるのがSuperflyという課題です.かかりのよいホールドをダイナミックなムーブでつないでいきます.ボルダー課題のSquamish 100 selectにも選ばれている名課題です.

まとめ
スコ―ミッシュの岩場・ルートについてまとめてみました.今回(2025.8)は実質クライミングが6日間で触れてルートはごくわずかですがそれでもスコ―ミッシュの魅力は十二分に感じることができました.また行きたいなーと思える素晴らしい岩場だったのでぜひ一度訪れてみてください.




コメント