テーピング vs クラックグローブ論争|男は黙って素手ジャミング!?

ギア紹介

 こんにちは,にわかアルピニストです.最近クラック関連の記事が多いなーと思いながらも今回もクラックに関する話です.

 みなさんはクラックにジャミングすると時に手の保護はどうしてますか?

 古きよきのテーピング派ですか?それとも新しい風ジャミンググローブ派でしょうか?ちなみに筆者は素手派です.

 今回はそんな感じのお話です.

ジャミング時の手の保護方法
  • 素手:最初は痛いが慣れると快適
  • テーピング:自由に調整できる,汗をかくとずれやすい
  • グローブ:とにかく簡単で早い,全体的にずれやすい

ジャミング

 この記事を読まれるくらいマニアックな方であれば,今さらジャミングの説明はいりませんよね?それでも簡単に説明しておくと,割れ目(クラック)に体の部位を入れて膨らましたり硬くしたりする行為のことです.

 このジャミングと呼ばれるテクニックは岩の弱点の一つであるクラックを登るためには必須のものとなります.

 好みにもよるかと思いますが,一般的にジャミングの中で一番使う頻度が多いのがハンドジャムでしょう.そしてハンドジャムはジャミングの中でも一番よく効き,達人であれば片手でぶら下がることもできます.

 でもハンドジャムって痛いですよね?

 ジャミングは手の甲のフリクションを利用するだけあって皮膚へのダメージは大きくなります.そのダメージを軽減する工夫がテーピングやジャミンググローブになります.

テーピングとジャミンググローブ

 ジャミングをする時に手の皮膚を保護する方法はテーピングとジャミンググローブ(クラックグローブ)の2つが一般的です.ここではこれらについて色々話します.

テーピング

 最初にお話するのはテーピングに関してです.最近はジャミンググローブの人口が増えてきましたが,筆者がクライミングをはじめたくらいの頃はほとんどの人がテーピング派だった気がします.

テーピングの功罪

 テーピングを使用するメリットデメリットを解説していきます.

メリット

 一番のメリットはもちろん皮膚の保護ができるということです.しっかりと粘着されたテーピングは皮膚を守り,そしてそのフリクションでジャミングをより快適にします.素手だと痛くてできないジャミングもすることができます.

 ジャミンググローブと比べるとずれにくいのは大きなメリットです.またその場面に応じていろんな巻き方ができるというのもテーピングならではです.

デメリット

 一方でテーピングの巻き方が微妙だとズレることもありますし,夏場など汗をよくかく季節だとしっかりと巻いててもふにゃふにゃになってズレてくることもあります.

 また巻くのに時間がかかることや,テーピング代がそれなりにかかるというのもデメリットと言えます.

テーピングを巻く時のポイント

 テーピングの上手に巻くにはいくつかの経験とコツが必要です.筆者がテーピングを巻くときに注意しているポイントは以下のとおりです.

  • 粘着力の強いテープを使う
  • ずれないように巻く
  • カバーする範囲を考える
  • きれいに巻く

粘着力の強いテープを使う

 テーピングを巻くうえで一番大切なポイントは粘着力の強いテープを使うということです.メーカーで言うとニチバンがおすすめでしょうか.

 クラッククライマー界隈では有名な話ですが,海外のテープは日本ほど粘着力はなく接着剤を塗ってからテープを巻くこともあるようです.

ずれないように巻く

 せっかく巻いたテーピングですが,ズレてしまうとその摩擦力は一気に失われてジャミングはしづらくなります.そのためずれないように巻くというのは非常に重要です.

 いろんなところでテーピングの巻き方は解説されてますが個人的には,

  • 手首にアンカーを作る
  • 指にループを通す
  • はしから丁寧に抑えていく
  • 最後はテーピング同士を貼り付ける

などが重要かと思います.

カバーする範囲を考える

 ルートによってクラックのサイズは異なり求められるジャミングは変わってきます.多くのルートでハンドジャムは必要になると思いますが,フィンガーやフィストなどは出てこない場合もあります.ワイドでは手のひらを岩に押しつけることもあります.

 指や手側面,手のひらにテーピングするかは登るルートを見て考えましょう.

きれいに巻く

 ずれないように巻くと一部重複しますが,テーピングを巻くときにはきれいに巻きましょう!きれいに巻くことで接着面積が広がりズレにくくなりますし,シワがあるとその分厚みが出てしまいます.このちょっとした厚みでジャミングの効き具合が大きく変わってくることもあります.

ジャミンググローブ

 続いてはジャミンググローブです.ジャミンググローブといえば以前はOCUNかRed Chiliくらいしかなくてこれらは手の甲の部分がゴムでなんかあんまりいいイメージがありませんでした.ですが数年前に手の甲がテーピングの感覚に近いBDのグローブが出てからは潮流が変わりました.

 その後,ワイドボーイズや最近だとG7なども出てきて色々な選択肢が出てきています.

ジャミンググローブの功罪

 ジャミンググローブのメリットデメリットを説明していきます.

メリット

 ジャミンググローブのメリットはなんといってもその簡便さでしょう.10秒程度で装着できその上しっかりと手の甲は保護される.おまけにBDをはじめ一部のグローブでは手の側面も保護されておりフィストジャムも思い切ってできます.

デメリット

 テーピングと比べるとどうしても厚みが出てしまいジャミングの感触が鈍くなるような印象はあります.とはいってもこれはテーピングと比べたら,の話なので最初からジャミンググローブを使っていれば気にならないかもしれません.

 あと筆者の場合ですが,どうしてもぴちっと感がなく若干ずれが生じるような気がしました.これでは摩擦力が落ちてしまいジャミングの強度は弱まります.

 ものによっては手首のバンドが弱いのも気になります.

ジャミンググローブはエイドか?

 ジャミンググローブの話をする時に必ずと言っていいほどついて回るのが,それがチートではないかという話です.

 最近は割とマイルドでジャミンググローブの使用も一般的ですが,本来フリークライミングは道具を使わずに自分の体一つで登るスポーツなのにジャミンググローブというアイテムを使ってしまうのはエイドではないか?というような強い意見も聞いたことがあります.

 たしかにWideboysの実験ではジャミンググローブを装着したほうがシンハンド,ハンド,フィストではジャミングの強度があがっています.もしこの結果にジャミンググローブのフリクション性能が影響しているとしたらエイドと言いたくなる気持ちもわからなくはないです.

ワイドボーイズによるジャミング強度の実験 – May the friction be with you!より引用

 ですが現実問題としては彼らの場合は素手でのジャミングでもクライミングをするのに十分な強度が出ておりジャミンググローブの影響はそこまでないような気もします.

 これらを踏まえ筆者個人としては「すでにジャミングの技術を有している人が皮膚保護や効率化のためにジャミンググローブを使用するのは問題ない.一方で素手やテーピングで十分なジャミングができない人がジャミング力向上のためにジャミンググローブを使用するのはどうなのかな?」と思ってます.

 でもまあこれをいいだしたらシューズはどうなんだってなりますけど笑

素手ジャミングのすゝめ

 ここまでテーピングとジャミンググローブの話をしてきましたが,「じゃあお前はどうなんだ?」という疑問があるかもしれません.

 筆者はどちらでもなく素手ジャミング派です.

 ここからは素手ジャミングについて話していきます.

筆者が素手で登るようになったきっかけ

 筆者が素手でクラックを登るようになったきっかけは大きく2つあります.

 このブログをご覧になってるクライミング愛好家の皆さんは季節を問わずクライミングを楽しんでいると思います.筆者も春夏秋冬,場所を変え色んなところで登っています.だらだら汗をかくような暑い時期も登ります.

 そんな筆者ですが,元々クラックを登る際はテーピング派でした.みなさんご経験あると思いますが,暑い時期にテーピングをしてクライミングをしていると汗が出てきてどんどん剥がれていきます.そうするともう何の役にも立たなくなって,いやむしろ邪魔になるのでテーピングを剥がしてしまいたくなります.これが1つ目です.

 もうひとつのきっかけですが,それはヨセミテにあるTales of powerという課題です.この課題はキャメロットで言う#0.75サイズのシンハンドが続くもので,一般的なサイズより大きく厚い筆者の手はこのサイズがとても苦しいです.最初はしっかりとテーピングを巻いてトライしていたのですが,途中でテーピングが剥がれてきたのでやむなく剥がしてトライしたところジャミングのきき方が大きく変わりました.テーピング数枚のわずか1mm程度の厚みですが,その1mmはとても厚いということを知りました.

 このような経緯があって筆者は素手ジャミング派となりました.

素手ジャミングについての色々

 ここからは素手ジャミングの魅力をお伝えしています.

その① ずれない

 まずはなんといってもこれ!皮膚が直接岩に接するためずれることはありません!慣れてしまえば快適そのものです.

その② 手の甲にチョークアップできる

 グローブやテーピングをしていると手の甲にチョークアップをすることってあんまりないんじゃないですか?(そもそも必要ない?)

 しかし素手の場合は違います!手の甲にも手のひらと同じようにたっぷりとチョークをつけることができます.

その③ 薄くなる

 テーピングやグローブをしない何よりのメリットはこれ!先にも述べましたが,たかが1mmされど1mmで全然ジャミングのきき具合が変わってきます.

 特に核心となることも多いシンハンドではこれは有利に働きます.

その④ 準備が早い

 テープも巻かない,グローブもしないので準備が早く終わります.せっかちで早く岩に取り付きたい人にはおすすめです.

その⑤ 最初は痛いが徐々に皮膚が強くなる

 ここまで素手ジャミングのメリットを挙げてきましたが,最大のデメリットと考えられるのが皮膚の保護がないことです.そうするともちろん痛いですし,粗い岩では傷もできます.

 ですがそれも最初だけです.頑張って1シーズン素手で登ってみてください!秋になる頃には皮膚も強くなって素手でも全く気にならないようになります.僕は今では目の粗い花崗岩でも無傷かせいぜい薄皮がめくれるくらいで快適にジャミングできます.

エキスパートの意見(「ピート・ウタカーのクラッククライミングより」)

 最後にこの項では海外のクラックのエキスパートたちがどのようにしているかを紹介していきます.こちらに関してはジャミングの技術書である「ピートウィタカーのクラッククライミング」より引用しています.

クライマー主な経歴考え方
ベス・ロッデンThe Meltdown5.14c初登テーピングする
リン・ヒルThe Nose5.14aフリー化インディアンクリークではするけれど,ヨセミテではしない
ジェリー・モファットEquinox5.12cFL,The Phoenix5.13aOSテーピングするよ
バーバラ・ツァンガールGondo Crack8c/5.14bR初登,Magic Mashroon5.14a第2登何日も登りたいときはする
ピーター・クロフトThe Rostrum&Astoroman継続1dayフリーソロテーピングは治療のためのもので,遊びに使うものじゃない.
ランディ・リーヴィットリービテーション発明,Book of Hate5.13d初登する
メイソン・アールStranger than Fiction5.14-テーピングはしたいな
アレックス・オノルドFreerider5.12d/13aフリーソロしない
ショーン・ビジャヌエヴァ・オドリスコルTainted Love E8/5.13d第2登しない
ヘイゼル・フィンドレイTainted Love E8/5.13d初登しない
二コラ・ファブレスRecovery Drink8c+初登しない
トム・ランドールCentury Crack5.14b初登する
ロン・フォーセットStrawberriesE7 6b/5.12d初登昔はテーピングなんてしなかったものだよ
ジャンーピエール’ピーウィー’ウーレNecronomicon5.14a初登する.しないほうがいいこともあるけれど,それは指がずたずたになる前に1トライしかしない,ってことさ
ウィル・スタンホープTom Egan Memorial Route5.14フリー化しない
ピート・ウィタカーたくさんテーピングする.痛みを和らげてくれるし,より長く何日も登り続けるにはいいよ

 こう見るとやはり素手派もそれなりにいますね.ただヨセミテなど海外にある氷河で磨かれた花崗岩は日本のものとは違って岩がつるつるとしているという違いもありますのでこの点は鵜呑みにしない方がいいかもしれませんね.

まとめ

 いかがでしたか.この記事ではジャミング時の手の保護について解説してきました.現在,筆者は保護しない素手ジャミングに落ち着いていますが,テーピングをするときもグローブをするときもあります.皆さんも色んな選択肢を試してみるともっとクラックが楽しくなるかもしれませんよ!!

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