小太郎岩-Sky Crawler|5.12が連続する西日本屈指の濃密マルチピッチ(未完結記事)

スポーツクライミング

 みなさんはロッククライミングをしていて空を感じたことがありますか?

 今回紹介する”Sky Crawler”は空を感じることができるそんな爽快なマルチピッチです.

 ちなみに筆者はまだ4Pを完登していないのでこのルートは未完登です.それでも誰かにこのルートの素晴らしさを共有したくてたまらなかったので書けるところまで書きました.つまりこの記事は未完結です.それでもよければぜひ読んでいってください.きっといい出会いになるはずです.

Sky Crawler
  • 奈良県と三重県のはざまにある西日本屈指のマルチピッチ
  • ラインハングの弱点を絶妙についた巧みを感じるライン取り
  • 全4ピッチ中,5.12-が2つ,5.11+が1つとかなり濃厚
  • 心地よい風,美しい景色,爽快な高度感

 

名張 もとい曽爾村

 三重県に通称”名張”と言われるクラッククライミングのエリアがあります.美しい柱状節理が並び東海・関西地区のクライマーはもちろんのことそれ以外の地域から訪れるクライマーも少なくはありません.

 その名張から15分ほど進むと気がつかないうちに奈良県との県境を越えることになり,そこは曽爾村と言われる地域になります.

国土地理院地形図より引用・一部追記

 この曽爾村は人口1000人程度と小さな村ですが,「日本で最も美しい村」連合と呼ばれるNPO法人に加盟しておりススキの名所である曽爾高原をはじめ美しい自然を堪能できます.

 奈良県との県境をわずかに越えたところには小太郎岩と呼ばれる高さ200mほどの岩壁が連なっており,ここは昭和の初めには日本百景にも数えられた名勝地であり奈良県屈指の紅葉スポットです.

小太郎岩

 もちろん小太郎岩は見ていても圧巻される素晴らしさですが,ロッククライミングの名所としても古くから知られています.

 とはいうもののこの地で行われていたのは現代一般的となっているフリークライミングではなく,かつて日本中で盛んにおこなわれていたアブミを使った人工登攀となります.

小太郎岩

ライオンハング

 小太郎岩の中腹にはライオンの顔を思われる岩がありこれは”ライオン岩”と呼ばれますが,登る側からしてみるとここは難所となるハングでもありクライマーからは”ライオンハング”と呼ばれています.

ライオンハング

 かつて人工登攀が行われていた証拠としてライオンハングをはじめ小太郎岩には無数のハーケンやリングボルトなどが埋め込まれています.

Sky Crawler

 Sky Crawlerは小太郎岩にある唯一(おそらく)のフリークライミングルートで2022年にジャミング紳士こと大藪氏らによって開拓されました.ライオンハングの弱点をうまくついて攻略していくマルチピッチで,4ピッチで構成されますがそのうち2ピッチが5.12-,1ピッチが5.11+という短いながら非常に内容の濃いルートです.

 同じ岩質で同じ柱状節理ですが,クラック主体の名張とは異なりオールボルトのスポートルートです.ただハングありトラバースありなのでランニングの取り方については少し頭を使う必要があります.

1P目 5.12-

 Sky Crawlerの全体を通して最高グレードである5.12-がつくピッチは全部で2つありますが,そのうちの1本が1P目です.出だしから手強いピッチでなかなかすんなりとは登らせてくれません.

 全体的に苔むしている岩壁なのにピカピカのハンガーボルトが打ってある周囲だけきれいになっており登るラインは明瞭です.全体としてはスラブ~フェイスくらいの傾斜ですが,途中に明らかな核心であると思われるハングを有しています.

 簡単なカンテから登り始めフェイスにでていきます.ホールドは明瞭ですが案外足が悪くバランシーです.ハング下でレストポイントはありますが,予想通りハング越えが核心のようで簡単ではありません.テクニカルかつパワフルにハングを越えてからもバランシーなムーブが続きます.

 最後は簡単なフェイスですがトラバースして終了点なので少しだけ緊張します.

2P目 5.8

 2P目はアプローチ的なピッチでライオンハング下のレッジまで登ります.ボルト3本と若干ランナウト気味ですが全く気になりません.

 ちなみに無粋な話ですが,もし3P目をトップロープでトライするのであれば80mロープであれば2P目取付きのテラスからなら可能です.

3P目 5.11+

 3P目と続く4P目がいよいよSky Crawlerのハイライトとなります.ライオンの鼻の下から始まり,左の小鼻にあたる箇所を登ってハングを越えていきます.

 1ピン目までは簡単ですが若干遠く緊張します.その後はガバホールドを使って右にトラバースしてライオンの小鼻であるコーナーに入ります.適宜ランナーを伸ばしてロープの流れに注意しましょう.

 核心である前傾コーナーは甘いシンクラックでステミングとレイバックをうまいこと使いながら越えていきます.ハング上にはかかりのいいガバカチがありますが,カンカンと軽い音を立てており「剥がれないでくれ~」とお祈りしながら体を上げていきます.

弱点を突くがそれでも傾斜は強い

 乗越してスラブに出てしまえば核心は終わりですが,ランナウトするスラブでラインを読み間違えると案外苦労するかも?

壁から離されるクライマー

 3P目はハング越えかつトラバースのルートであり,終了点からビレイ点へのロワーダウンはそれなりに大変です.どうしてもストレスな場合は長いロープ(筆者は80mを使用)で一度2P目の取付きまで下降することをおすすめします.

4P目 5.12-

 さて最終ピッチとなるこの4ピッチ目ですが,実は筆者はまだ登っていません.さらに言うとトライさえしていません.なのでここではエアプはせずに初登者の大藪氏の文章を引用させていただきます.

途切れ途切れのクラックが続くフェースをこなし、露出感の高いハング帯に進入する。フレアしたチムニー状も奮闘的で、続く最後のテラスへ這い上がるのも気が抜けない。終了点に着いて右側に振り向くと曽爾高原が見渡せる。

小太郎岩 Climbing Guide 2025年7月11日 第2版 より引用

まとめ

 この記事では西日本屈指のマルチピッチであると筆者が考えているSky Crawlerについて紹介してきました.小太郎岩というなかなか聞いたことがない岩場にありますが素晴らしいルートです.東海や関西に来た際にはぜひ足を延ばして訪れてみてください.未完登の筆者自身も秋は小太郎岩に通うことになりそうかな~

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