以前に「クラッククライミングのすゝめ」という記事を書きました(読んでない人はぜひ!).
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そこでは筆者がクラッククライミングについて考えていることを徒然なるままに語らせていただきました.今回はそんなクラッククライミングの中でもフィンガークラックに特化した記事で「クラッククライミングのすゝめ」シリーズ待望(?)の第2弾となります.ここでは最近何かと触る機会の多かったフィンガークラックについていろいろ話していきます.
目次
フィンガークラックとは
岩の弱点であるクラック(割れ目)を登るクラッククライミングですが,クラックのサイズによって使われるテクニックは異なります.割れ目の幅に応じて指や手足,腕,時として体全体を入れて登っていくことになります.
そんなクラックの中で,人間の体の中で最も細い箇所である指しか入らないような(場合によっては指すら入らないものもある)サイズのクラックをフィンガークラックといいます.

一般的にクラックは細くなればなるほど難しくなる傾向にありフィンガークラックの課題には高難易度のものも多く,このサイズのクラックを苦手とするクライマーも少なくないかもしれません.ちなみに余談ですがこの逆は(つまりクラックの幅が広がれば広がるほど簡単になるということ)成り立ちません.
サイズ別フィンガークラック
指は人間の体の中で最も細い箇所であると同時に最も器用に動かせる箇所でもあるため必然的にフィンガークラックで使うテクニックは他のサイズで使うものよりも多くなります.
とはいうもののクラックのサイズによって必要となってくるものはおおむね似通っているため,ここではクラックのサイズを5つに分けて紹介していきます.ちなみに参考サイズに関しては筆者の指(太め)で書いているので自分のサイズで想像してみてください.
クラッククライミングのテクニックであるジャミングについては「ピートウィタカーのクラッククライミング」という書籍が本当に参考になるので興味がある方はぜひ一読をおすすめします.
バチぎきフィンガー【参考サイズ:キャメロット#0.4サイズ】
まず最初に紹介するのはフィンガージャムの基本の「キ」ともいうべくサイズで筆者の場合はキャメロットでいう#0.4くらいの幅になります.
このサイズだと指は付け根までいれることができます.岩と接する部分が多くなるためある程度力を抜いてしっかりと極めることができます.
足に関してはトゥジャムがギリギリ決まるかどうかくらいの幅です.

第一関節ねじ込みフィンガー 【参考サイズ:キャメロット#0.3サイズ】
次に紹介するのは先ほどまで少し細いサイズでキャメロットでいう#0.3くらいのサイズで,太い指(人差し指,中指)の第2関節はクラックの中に入れきることができません.逆に小指側であればもう少し奥まで入るかもしれません.
フィンガージャムにおいて捻りは重要なことですが,このサイズでは捻れば捻るほど利きがよくなるイメージがあります.
このサイズではトゥジャムをきめるのはなかなか難しいです.オフセットした箇所やクラック外のスタンスを探すようにしています.本当に何もないときはクラックに押し当てスメアに頼るようにしています.

サムロック 【参考サイズ:キャメロット#0.5サイズ】
フィンガークラックの鬼門となるのがこの#0.5サイズのクラックです.
このサイズは多くの人にとって指が極まるほど狭くはなく,手が入るほど広くもないサイズで,狭いのにスカスカといった印象を受けます.ジャミングをきめるには親指を使ったサムロック(別名:サムカム,リングロックなど)と呼ばれる特殊なテクニックが必要です.詳細に関しては先ほど紹介した書籍を参考にしてみてください.あとは練習あるのみです.
ちなみにサムロックは前ふたつのフィンガージャムよりは利きが甘めで足が重要になってきます.ですがこの#0.5というサイズはそこまでしっかりとトゥジャムがきまるサイズでもないので核心となることもあります.クラックのシューズを選ぶときに#0.5のサイズにどのくらいトゥジャムがきまるかを一つの基準にしてもいいかもしれません.

激甘フィンガーチップ【参考サイズ:キャメロット#0.2サイズ以下】
クラックが#0.2よりも細くなると一般的には”シンクラック”と呼ばれます.このサイズが続くようなルートは5.11後半から5.12くらいのグレードとなってくることが多いです.
ジャミングは決まってもせいぜい指先だけで第一関節はクラックの中に入らないことが多いです.そのためきわめて甘いジャミングとなります.クラックの形状によっては縁をカチ持ちする方がいいことも多々あります.
ちなみにこのサイズのクラックにトゥジャムができたらそれはもう神の領域です.基本的にはフェイスのスタンスを探すことになると思います.このくらいのサイズのクラックでは筆者はフェイスのシューズを履きます.

もはやフェイス 【参考サイズ:キャメロット#0.1サイズ以下】
さらに細くなり#0.1以下になると基本的にはジャミングはききません.オフセットした箇所をなんとか探してフェイス的にムーブを組み立てることになります.

グレード別おすすめフィンガークラック
ここからはグレード別におすすめのフィンガークラックを紹介していきます.
5.9以下
このグレード帯だとフィンガークラックはかなり珍しいです.サイズはおおむね#0.4サイズで,加えて傾斜が緩いか,スタンスが豊富かのいずれかだと思います.日本だと珍しいこのグレードのフィンガークラックですがスコ―ミッシュやヨセミテなど海外のエリアでは沢山あります.


モツクラック 5.8【瑞牆 カサメリ沢モツランド】
カサメリ沢のモツランドにあるクラックで部分的にフィンガークラックがあります.傾斜も90度を下回りスタンスも豊富です.
おたまじゃくし 5.8【豊田 天ヶ峰】
フィンガー部分は短いですが,確実なフィンガージャムが数手求められます.後半は5.7くらいのやさしいフェイスをランナウトして登ります.慣れれば5.8ですが,はじめて触るととてもそのグレードには感じません.

秀則コーナー 5.9【瑞浪 屏風岩】
入門グレードのフィンガークラックでは一番おすすめです.コーナーにある15mほどのルートを最初から最後までフィンガージャムで登ります.

5.10台
5.10台のフィンガークラックもやはり#0.4サイズが多めで比較的ジャミングのきめやすいものが多い印象です.その中でグレードに伴ってちょっとずつ難しいサイズがでてきます.
マガジン 5.10a【小川山 兄岩】
マガジンは小川山兄岩にあるクラックで綺麗なコーナークラックです.よくきまるフィンガージャムでぐいぐい高度を上げることができます.

それがどうした 5.10c【名張 屏風岩】
クラック天国名張にあるクラシックルートで#0.3サイズのあま~いフィンガークラックではじまります.核心は数手ですが登りごたえがあります.
T&T 5.10d【瑞牆 十一面岩末端壁】
「同じエリアにある5.11aよりも悪い」という噂もあるT&Tもおすすめの1本です.一見同じ幅のクラックですが登ってみると太いところ細いところが明確でレストポイントと核心を見極める目が必要です.

イブ 5.10d【城ヶ崎海岸 日蓮崎】
城ヶ崎の日蓮崎は決して大きなエリアではありませんが,短いながら充実するフィンガークラックが並んでいます.イブは数m程度の本当に短いルートですがその分内容が凝縮されておりフィンガークラックを堪能できます.

5.11台
5.11台になると一気にフィンガークラックのバリエーションが増えます.5.10台が基礎編だとしたら応用的なジャミングもでてきてフィンガークラックが楽しくなってきます.
アダム 5.11b【瑞浪 屏風岩】
瑞浪の2枚看板のひとつ,アダムはどこに出しても恥ずかしくないフィンガークラックです.痛いくらいジャミングはよく利きますが,そこに頼らず少しでも指の負荷を減らすべくフットワークをうまく使うことが完登の肝です.

春うらら1P目 5.11b【瑞牆 十一面岩末端壁】
こちらも日本を代表するフィンガークラックのルートです.1P目,2P目ともにタイプの違うフィンガークラックですが,チェンジングコーナーを甘いジャミング,デリケートな足さばきで越える瞬間はしびれます.

Crime of the Century 5.11c【スコ―ミッシュ Smoke Bluff】
今回のおすすめで唯一の海外勢,Crime of the Centuryは完璧なフィンガークラックです.カナダのスコ―ミッシュというエリアにあり,手も足もジャミングしか使いません.このルートを登るためだけにカナダまで行く価値のあるルートです.

イマジン 5.11d【豊田 大田】
イマジンというルートはトポにも載っているし,ロクスノでも紹介されたことがあるのに知っている人は案外少ないのではないでしょうか?リードでは5.12bあるという噂の前傾フィンガークラックでなかなか見事です.

5.12台
このグレードになると一癖も二癖もあるルートが多くなります.5.12aは比較的素直なものがおおい印象ですが,5.12bを越えてくると以上になってくるとその傾向が一気に強くなります.
文武は両道 5.12a【瑞牆 カサメリ沢秋場所ロック】
文武は両道はスポートクライミングのメッカであるカサメリ沢にある類まれなるクラックルートです.核心部は5.12の登竜門ともいえるシンクラックです.

オーバー・ザ・レインボー 5.12b【瑞牆 十一面岩末端壁】
クラックルートが集まる十一面岩末端壁ですが上部を見上げるとアーチ状のクラックが見つかります.このオーバー・ザ・レインボーはサイズは悪くなくジャミングはよくきくのですがトラバースという特徴もありなかなか歯ごたえがあります.

神の時代 5.12c【瑞牆 十一面岩正面壁】
神の時代は十一面岩正面壁のシロクマのコル付近にあるシンクラックで内容は素晴らしいのですがその難易度からか,場所からか登ったことがある人は限られます.垂直な壁に入った初登者曰く”剃刀で切ったような”シンクラックは見ものです.

流れ星 5.12d【小川山 涸沢1峰】
小川山クラックの最終目標がローリングストーンとこの流れ星です.前者はシンクラックですが,流れ星は前傾壁に入ったきれいなクラックを真っ向勝負で登っていきます.

まとめ
クラッククライミングのすゝめ第2弾としてフィンガークラックについて語ってきました.クラックが好きでも苦手意識を持ちがちなフィンガークラックですが一度楽しくなるとやめられません.アレルギー反応を起こさずにどんどん触ってみてくっださい!!
世界はそれをフィンガークラックと呼ぶんだぜ











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