荒川出合 2ルンゼ正面大滝・3ルンゼ右のナメ滝|南アルプスでアルパインアイスクライミング

アイスクライミング
スポンサーリンク

 八ヶ岳はほど近いアプローチでゲレンデ的なアイスクライミングが楽しめるエリアとして人気ですが,八ヶ岳とさほどかわらないアプローチで本格的なアルパインアイスが楽しめるエリアとして荒川出合というエリアがあります.

 ルートの本数こそは八ヶ岳には劣りますが,週末で荒川出合を訪れればスクリューで支点を作るようなマルチピッチのアイスクライミングや国内有数のルートである夢のブライダルベールなど充実すること間違いなしです.今回はそんな荒川出合について紹介していきます.

荒川出合のアルパインアイスクライミング
  • ビッグスケールの大滝をマルチピッチで登る2ルンゼ・3ルンゼ
  • 国内有数のルートである夢のブライダルベール
  • 3時間ほどのほど近いアプローチ

荒川出合

 荒川は南アルプスは白峰三山の麓を流れる野呂川から支流で,この一帯にあるアイスクライミングエリアを通称荒川出合と呼びます.奈良田あるいは夜叉神から3時間ほどの歩きでベースとなる荒川出合に到着し,そこから30分ほどの近いアプローチで氷瀑に取付くことができます.

荒川出合
荒川出合

 荒川出合で登攀の対象となっている氷瀑として1ルンゼ,2ルンゼ,3ルンゼなどがあり,2ルンゼ正面大滝や3ルンゼ右のナメ滝はⅣ+程度の比較的登りやすい氷であり入門的なマルチピッチアイスクライミングのルートとして人気があります.3ルンゼにある夢のブライダルベールはⅥ級の高難易度ルートで迫力のある氷柱は思わず見とれてしまいます.

  • 1ルンゼ
  • 2ルンゼ正面大滝
  • 3ルンゼ右のナメ滝
  • 3ルンゼ アーリースプリング
  • 3ルンゼ 夢のブライダルベール
  • ネルトンフォール

アプローチ

荒川出合へアプローチする方法は2つあります.一つは奈良田から野呂川沿いの道を3時間ほど歩く方法,もう一つは夜叉神峠から1時間ほど道を歩き,鷲ノ住山経由で行く方法です.時間としては若干前者の方が早いですが,帰りは登り返しになるので駐車場へのアクセスのしやすい方を選ぶなどでよいと思います.

夜叉神ゲート

 いずれのルートも駐車場からゲートを通ります.時間帯によっては通行できない場合もあるので早出を心がけましょう.夜叉神峠からのアプローチでは1時間ほどトンネルが連続する舗装された道を歩くと鷲ノ住山への登山道があるのでこちらへ進みます.

鷲ノ住山

 頂上まで15分ほど登るとあとは標高差400ほどをいっきに下ります.登山口から1時間ほどで野呂川発電所まで下りられるのでつり橋を渡り再び舗装道に出ます.野呂川隧道を奈良田側に進むと10分ほどで荒川出合に到着します.

野呂川発電所

 幕営できる場所は多々ありますが,発電所周辺は冬でも車がはいるので邪魔にならないようにしましょう.荒川左岸に広場があるのでお勧めです.

2ルンゼ正面大滝

 2ルンゼ大滝は荒川出合からも見える200mを越える大滝です.2ルンゼ出合までは5分ほどで到着しそこから大滝基部まで沢をつめます.

2ルンゼ正面大滝

 アプローチの沢はガレとナメ滝で雪の少ない早い時期だとロープこそいりませんが思いのほか時間がかかります.登りやすい所を選んでサクサクと進みましょう.

2ルンゼのアプローチ

 正面大滝は核心部の大滝を2ピッチで,その後のゴルジュ帯の傾斜の落ちた滝を4ピッチの全6ピッチで登ります.大滝は一見それほど大きくは見えませんが各ピッチとも50mロープいっぱい登ります.中間部のテラスでスクリューでピッチを切ってⅣ+程度の後半部を登ります.

 大滝を越えるとゴルジュ帯に入ります.ここからは両岸へのエスケープが困難なので時間と相談しながら登るか下りるか判断します.

 易しい滝を4ピッチ,それぞれロープ目いっぱい登るとナメ滝に出て終了です.この先にも氷はあるので時間に余裕があれば継続するのも面白いかもしれません.

 下降は往路下降か2ルンゼ右岸の尾根の下降ですが,ここは絶対往路下降をおすすめします.右岸の尾根は踏み跡もテープもなく非常にわかりずらくなります.過去の記録をみても思いのほか時間がかかったというものも多く筆者たちも残業となりました.多少煩わしくても往路下降が確実です.

3ルンゼ右のナメ滝

 2ルンゼ正面大滝と並んで人気なのが3ルンゼ右のナメ滝です.「ナメ滝」という名前がついていますがしっかりと大滝があり思いのほか楽しめます.また3ルンゼには他に夢のブライダルベールやアーリースプリングもあるので訪れる価値は大いにあります.

3ルンゼ

 こちらも荒川出合から15分ほど林道を歩くと出合に到着します.3ルンゼの出合は開けていなく2ルンゼと比べるとややわかりにくいですが,2ルンゼから見て2つ目の沢地形です.1つ目の沢と2つ目の沢の間の小尾根をあがると簡単にアプロ―チできます.20分ほど登ると3ルンゼの分岐となり目の前に夢のブライダルベール,右手にナメ滝が現れます.

3ルンゼ右のナメ滝

 右のナメ滝を大滝基部まで50mほど登ります.アプローチのナメ滝は傾斜は強くなりですが長いのでパーティの実力に応じてロープの使用を検討しましょう.

 核心部の大滝は50mロープ2ピッチで抜けられます.前半は70度ほどですが,後半部は傾斜が強くなります.左岸の灌木でピッチを切り後半部を大滝を抜けます.その後も3ピッチほど名前からは想像できない登りごたえのある滝を登ります.

夢のブライダルベール

 夢のブライダルベールは日本代表するルートの1本といえます.その迫力はすさまじく,2ピッチ目の氷柱はコンディションによって左右されますがⅥ級程度とされることもある難しいルートで多くのクライマーの憧れです.

夢のブライダルベール

まとめ

 アイスクライミングというと八ヶ岳が人気のエリアですが,今回紹介した荒川出合は八ヶ岳とあまり変わらないアプローチで質の高いマルチピッチアイスクライミングを楽しむことができます.初心者でも登りやすいルートもそろっていますので一度訪れてみてはいかがでしょうか.

コメント

タイトルとURLをコピーしました