足尾というと何をイメージしますか?多くの人が足尾と聞いて思い浮かべるのは,学生のころ社会科の授業で習った足尾銅山かと思います.ですが,実は足尾にある松木沢沿いには知る人ぞ知るロッククライミングの一大エリアがあります.今回はそんな足尾の岩場の魅力をお伝えしていきます.
足尾の岩場
栃木県にある足尾町はかつて銅山で栄えた町ですが足尾銅山閉山後は著しい人口減少が生じ現在は日光市の一部となっています.そんな足尾ですが,関東近郊のクライマー達にとってはロッククライミングの一大エリアとして知られています.
松木沢渓谷に沿って存在する大小様々な岩壁・岩峰にはいくつものルートが開拓されており一年を通じて登られていますが,特に冬になるとシビアなウインタークライミングのゲレンデとして楽しめます.標高1000mちょっとですが冬型の気圧配置になるとしっかりと雪がつくため侮れません.駐車場から1-2時間の至近のアプローチも魅力的です.
足尾の岩場に関しては登山大系や冬期クライミング本に少しだけトポが載っていたり,ウェブ上で記録を見ることができます.地元クライマーの方々が精力的に開拓されているので気になったら連絡を取ってみるのも一つの手かもしれません.
足尾の岩場には松木沢渓谷沿いに複数のエリアがありますが,今回は最もアプローチがよく人気も高い松木沢ジャンダルムにある左ルートから直上ルートへ継続するルートを紹介していきます.
左ルート~直上ルート
ジャンダルムにある左ルートと直上ルートは隣接したルートでいずれも5Pで構成されていますが中間部の歩きのピッチは共通しています。それぞれのルートを上部下部にわけて捉えると両方を組み合わせて一つのルートとして登ることができます。
今回、左ルートから取り付いたものの自然に登りたいところを登っていたら上部は直上ルートに入っていました。このライン取りをすることで歩きを除いた4Pとも充実したクライミングができたので紹介していきます。
1P目 (左ルート) Ⅳ+級
左ルートの取付きに行くにはジャンダルムの中央にある著明な中央ルンゼを目指すとわかりやすいです.中央ルンゼの取付きから岩壁基部を左に上がり2つ目のクラックがあるところが中央ルンゼの取付きです.
1P目は傾斜の強い壁にある凹角から登り始めます.中間部の小テラスを挟んで後半は1mほどのハングに頭を押さえられます.ここを右から越え易しいスラブを10mほど右上したテラスでピッチを切ります.
2P目(左ルート) Ⅳ-級
2P目は自由なライン取りができるピッチです.左の方は段々となっており易しそうで,右の方は傾斜も強く登りごたえがあります.40mほどロープを伸ばしてルート中間部の緩傾斜帯まで登ります.
3P目 歩き
3P目は緩傾斜帯をコンテで歩きます.ここで左ルートと直上ルートが合流するのでラインをみて好きな方を登りましょう.筆者たちは後半は直上ルートを選択しました.
4P目(直上ルート) Ⅳ+級
直上ルートの4P目は85度ほどの傾斜の壁に入ったクラックを登ります.無雪期であればフットジャムで快適に登れるであろうピッチもアイゼンだと細かいスタンスを拾うことになりなかなか厳しいです.上部は傾斜も強くなり難しいですがプロテクションはよいので思い切って登りましょう.
5P目(直上ルート) Ⅳ級
最終ピッチは傾斜の強い壁を右上気味に弱点を突きつつ登りジャンダルム山頂の拳岩の基部まで上がります.拳岩基部まであがると左にトラバースして終了です.最後は歩いて頂上まで登ることができます.
ジャンダルムからは歩いて下山することが可能です.ジャンダルム右側の沢筋からピンクテープに沿ってガレ場を下ります.途中3か所ほどフィックスロープが張ってありますが,ここはフィックスロープを使っての懸垂下降でも下りられます.
まとめ
今回は左ルート~直上ルートを紹介しましたが,ジャンダルムはどこでも好きなように登れるので既存のルートに捉われず好きなラインを登るのも面白いかもしれません.足尾にはまだまだたくさんのルートがあるので一度訪れてみてはいかがでしょうか.
コメント