夏山はよくいくけど冬山にはいったことない.
冬山もいってみたいけど危険がありそうで踏み出せない.
雪山の写真をみたけど白銀の世界がきれいでいってみたい!
昨今が登山ブームが来ています.多くの人は小中学生のときに学校行事でハイキングにいったことがあるのではないでしょうか?登山をはじめるときに夏山はその延長で自力でもなんとかなるけれど,いざ冬山をはじめようと思うとはじめかたがわからない.でも時々写真で見る雪山の美しさは一度見てみたい.そう思っている方も多いのではないでしょうか.本項では冬山の魅力を伝えつつ必要な装備について紹介していきます.
冬山登山の魅力はなんなの?
冬山と一言に行ってもかなり幅広いのが現状です.近郊の低山から日本アルプス,バリエーションルート,アイスクライミング,バックカントリースキーなど夏山以上にアクティビティの選択肢が多いのが冬山です.一度行ってみるとその素晴らしさに心を奪われることでしょう.
夏には緑が生い茂り生命を感じることができた山々も冬になると登山者も少なく静寂な世界になります.一般的には冬山というと雪山を想像する人が多いと思います.しかし標高が高くなると雪は風で吹き飛ばされるため岩肌が露出し「ミックス」と言われ雪と氷と岩が混在する世界になります.よくヒマラヤなどの高山で「死の世界」という言葉が使われますが,日本アルプスなどの3000m級の山々でも「死の世界」を体験することができます.
また夏山では登山道がないルートを登ることは困難ですが,冬には雪が覆いつくすため夏には登ることができないルートを登ることもできます.新雪の中に一番先に足跡をつける気持ちよさは夏には体験できません.
冬山には冬にしか体験できない数々の魅力があります.一方で冬山に伴う危険もあるのでそちらも紹介していきます.
冬山って怖くないの?
「冬山に興味はあるけどためらわれる」
一番の理由は夏山よりも危険が伴うイメージがあるからでしょう.確かに冬山の方が夏山にはないリスクがあるのは事実です.しかし,夏山でも山岳遭難や死亡のリスクはあります.みなさんはそれらのリスクをしっかりと管理して夏山に向かっていると思います.同様に冬山でもリスク管理を行えば安全に登山を楽しむことが可能です.ただしそれには十分な知識と適切な装備が必要となってきます.
では具体的に冬山は夏山とどのような違いがあるのでしょうか?大きく環境の違いと必要な技術の違いにわけられると思います.
まず環境の違いですがここが一番大きな違いでしょう.冬という気温が低い季節であり,雪が積もったり凍結したりします.そのため低体温症のリスクや雪崩のリスクがあります.また日照時間が短く行動時間が制限されます.さらに新雪がつもればラッセルも必要になるため同じ行程をいくにしても夏山よりも体力が必要になります.多くの山域では冬は山小屋は閉じているためテント泊の技術が必要であったり,緊急事態にはある程度自分で対応したりする必要があります.
下記ではテント泊の装備等について紹介しています.
次に技術の面ですが,一番の違いはアイゼンで歩く必要があるということでしょう.雪の斜面はよく滑るため一度転倒するとすぐに滑落につながります.そのため絶対に転ばないアイゼン歩行技術が必要になってきます.また夏にはピンクリボンがついて整地されている登山道も冬は雪で覆われるため自分でルートファインディングを行う必要があります.
これらの点をよく理解した上で雪山に行く分には安全に楽しめることでしょう.しかし,自分ですべてを学ぶことは難しいので山岳会に入ったり,ガイドと一緒に行ったりしながら知識・技術を習得していくのが早道でしょう.
冬山登山で必要な装備って何があるの?
ここまで冬山登山の魅力や夏山との違いをまとめてきました.ここからは実際に冬山登山をはじめるにあたって必要な装備について紹介していきます.下のリンクで夏山装備との違いついても参照してください.
服装編
冬山登山でも夏山と同じようにレイヤリングシステムが一般的です.上半身,下半身ともにベースレイヤー,ミドルレイヤー,アウターレイヤーの順に着衣します.また冬山の場合にはレイヤリングシステムは手袋にも行われます.
ベースレイヤー
ベースレイヤーは一番内側に着る服です.夏山と同様に汗冷えを防ぐために汗を素早く吸収しミドルレイヤーに送る機能が必要となります.上半身の場合にはドライレイヤーと言われるものを着用する場合もあります.素材としては化学繊維やメリノウールなどが好まれます.ウールは速乾性はありませんが,濡れても保温力が保たれるという利点があります.
ミドルレイヤー
ミドルレイヤーはベースレイヤーから送られてきた汗を蒸散させることが期待されます.また冬山での保温の役割はおもにこのミドルレイヤーが行います.フリースをはじめとする化学繊維のものがよいでしょう.
アウターレイヤー(ヤッケ)
アウターレイヤーはヤッケやハードシェル,オーバーパンツなどと言われます.主な機能は防水透湿性です.雪山の稜線は夏山と比較にならないくらいの強風が吹きます.その強風から身を守ってくれるのがヤッケでありハードシェルです.また新雪が積もって山では膝や腰まで雪に埋もれた状態でラッセルを行う必要があります.その際にオーバーパンツは役に立ちます.さらに万が一滑落したときにも役に立ちます.ヤッケの表面はレインウェアと比較してざらざらしており雪面に対して摩擦が生じ滑りにくいようになっています.
登山靴
冬山での登山靴は夏山以上に重要な存在で冬山をはじめるにあたって最初にそろえべき装備になります.冬山では足は多くの時間雪に触れておりそこから対応が奪われます.そのため保温性は非常に重要です.さらに雪が解けると靴に浸水してくるため防水性も必要です.また冬山ではアイゼンを装着してあるくことがあるためコバといわれるでっぱりがついていたり,ソールが硬くなっていたりなども冬靴の特徴です.
スパッツ
夏山ではスパッツは必須装備ではありませんが冬山では必須装備です.雪の中に足を踏み入れるためスパッツがないと靴の中に雪が入るためです.また保温の意味でもスパッツは役に立ちます.夏用の薄手のものではなく,冬用の厚手で頑丈なものを購入しましょう.
手袋
冬山では手袋もレイヤリングする必要があります.機能性を重視した薄手の手袋,保温を担う厚手の手袋,防風防水を求めるオーバーミトンをレイヤリングすることで機能性と保温性を保つことができます.スキー用の手袋などで一体型の手袋はなるべく避けた方がよいです.濡れた時に乾きにくい(レイヤリングであれば各々乾かせる)というのが一番の理由です.
ギア編
アイゼン(クランポン)
冬山の必須装備ですね.これがあると雪山という感じがします.靴の裏に装着する鉄の爪がついた胴部です.雪や氷の面に鉄の爪がささり雪山でも安定した歩行を可能にrします.
アイゼンを選ぶときに2つほど考えることがあります.一つは爪の本数です.4~12本爪までありますが,基本的には冬山に行く場合には12本爪を選んでください.12本爪のアイゼンであれば世界中のどこの山でも行けますが,それ以外のアイゼンでは日本アルプスなどは難しいかもしれません.
二つ目は固定方法です.バンド式,セミワンタッチ式,ワンタッチ式があります.いずれも一長一短ですが,バンド式は靴によらず装着可能です.例えば夏靴にも装着できるので夏山の雪渓に行くときにも使えます.
ピッケル(アックス)
ピッケルも冬山では必需品です.アイゼンで歩いていても雪の斜面や氷の上ではバランスが不安定です.ピッケルをつくことで三点支持になるためより安定した歩行が可能です.またアイスクライミングなどでは氷の壁にピッケルを打ち込んで登っていきます.
わかん/スノーシュー
わかんやスノーシューは必須装備ではありませんが,人の入りが少なり山域や降雪後などには絶大な威力を発揮します.雪の深いところでは足を踏み入れると深くまで沈み込みますが,わかんやスノーシューを使用することで浮力がはたらき沈み込みを軽減させます.スノーシューのほうが浮力は強いですが,かさばったり重かったりするためわかんの方が好まれます.
ストック
夏山では必須ではないストックも冬山では必需品になります.バランスをとったり,足にかかる荷重を軽減したりします.スノーバスケットを忘れずにつけましょう.
その他
テルモス(魔法瓶)
冬山の水筒といえば「テルモス」です.「thermos」とかいて「サーモス」と読むはずなのになぜか登山家たちは「テルモス」といいます.テルモスに熱湯を入れると3日後くらいでも暖かいお湯が飲めるという非常に保温性に優れています.冬山では思ったよりも汗をかくのでしっかりと水分補給ができるようにもっていきましょう.
ゴーグル/サングラス
雪山では日が照ると雪面に反射するため夏山よりも紫外線は強くなります.雪目を防ぐためにサングラスは必須の装備です.また吹雪になると視界が悪くなり目を開けるのが難しくなったり,顔に強風があたり凍傷になったりします.ゴーグルを装着することで吹雪の中でも視界を保つことができます.サングラスとゴーグルは用途が異なるため両方もっていきましょう.
おわりに
冬山の魅力,夏山との違い,必要な装備について紹介してきました.冬山は夏山よりも危険が伴う反面,夏には味わえない魅力もたくさんあるのでぜひ挑戦してみましょう!
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